9 初めての呼吸法
全員が五時を待っていた。
「それでは、呼吸法を始めましょう。呼吸は生まれた時から死ぬ間際まで必ず誰もが行うことです。」
アンシュアーサ導師は静かに語り始めた。
「名前がついている呼吸法は200以上あるといわれていますが。主なものは60程でしょうか。
それも突き詰めれば呼吸は3つです。」
・・・次の言葉を待っていた。時さえも待っていた・・・
「息を吐きましょう。吐いたら吸いましょう。・・・続けてください。」
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「肩の力を抜いて〈寛ぎ〉ましょう。」
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「息を吐いてから、気持ちよくゆっくりと息を吸いましょう。吸い切ったら1秒・2秒ほど待ってから吸った時間の2倍の時間を掛けて吐きましょう。吐いたら、1秒・2秒ほど待ってから次の息を吸います。吸い切ったら1秒・2秒ほど待ってから2倍の時間を掛けて吐きます。このまま続けてください。鼻呼吸で行います。」
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「身体の力を抜いて〈寛ぎ〉ましょう。」
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「次にいろいろ調べてみましょう。1、2と吸って止めて切り替えて1、2,3,4と吐いて止めて切り替えてと何回か試してください。」
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「大丈夫ですね。では4で吸って止めて気持ちを切り替えて8で吐くを試してみましょう。」
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「どうですか。これから後は自分で数を増やして無理せず最大にできる1:2の割合の呼吸を探ってみてください。それでは各自、自分の最大を探してください」
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「見つかりましたか。無理せず、何度でも繰り返せる数で気持ちよく吸える最大数とその2倍の長さで息を吐く呼吸を5分ほど繰り返します。途中苦しくなったら数を減らしてやり直して結構です。では、吐いてから、どうぞ始めてください」
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「そろそろ吐き切ったところで終わりにしましょう。身体を楽にして〈寛いで〉下さい。」
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「1:2の呼吸は何時でも何処でも行じる事ができる呼吸法です。ゆっくり走る時はスッ、スッ、フーで1:2の呼吸にすることも出来ます。通常は4:8ぐらいが普通でしょうか。長くなれば成る程集中力、体力が必要となります。呼吸法は呼吸力、集中力、体力の鍛錬でもあります。それでは今とは逆の呼吸法を練習しましょう」
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「正しく座って、お腹を素早くフッ、と引き込めます。フッ、フッ、フッ、と10回ほど行ってみましょう」
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「何となくやり方が分かったと思います。では今日はこれを30回続けて行います。では吸ってから、ハイ。」
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「終わったら身体を楽にして呼吸をします。これを身体に任せた自然な呼吸=自然呼吸と言いますが自然呼吸で〈寛いで〉下さい。」
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「フッ、フッ、フッ、と速く吐く呼吸法は火の呼吸と言います。これは一人で練習する時は50回までにしてください。たくさんやることに挑戦して命を落とした人があります。安全を配慮して必ず回数は厳守してください」
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「今日は1:2の呼吸法と火の呼吸法を練習しました。残りの時間は腹式呼吸と胸式呼吸と肩式呼吸を行って呼吸筋を労ってやりましょう。では腹式呼吸から・・」
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「自然呼吸で〈寛ぎ〉ながら少し休みます。」
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「10分ほど休んでから6時からアーサ審体操」を行います。それまでご自由に」