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帝国学院編  5タップ-2  作者: パーナンダ
帝国学院入学編
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8 初めての瞑想

 導師が見所を下り、新兵たちの間を歩いて行く。

時折立ち止まり、気になる者を注視する。導師は小隊長に向かって指さすとまた次の者たちに歩を進めた。

指さされた数名の者には小隊長が椅子を持ち寄り、椅子に座らせた。

「折り曲げた足の膝は床に着かなければなりません。これは必ず覚えておいてください。」

ひと息おいて

「どうしても、膝が着かない人はクッションを高くする工夫をしてください。例えば毛布の端を折り返してお尻の位置を高くします。膝が痛い人は今、座り直してください。」

何人かがモゾモゾといった感じで動く。その様子が収まるのを待ってまた、導師が語りだす。

「どうしても床に座る事が出来そうにない人は、椅子に座ってもらいました。椅子に座った人も膝が股関節よりも高くならないように工夫してください。そして、途中で膝が痛く感じた人は無理せず我慢せず申し出て下さい。椅子に座るなり何か対策を相談しましょう。」

 再び、新兵たちの間を一回りした後導師が語りだした。

「それでは、準備ができたようです。今から瞑想を始めます。今日は初めてという事でひたすら呼吸を数えてみましょう。ひとーつ、吐き切り、息を吸ってふた―つ、で息を吐き切り、また息を吸ってみーつ、と続けます。とー、で〈つ上がり〉せず、また、ひとーつと戻ります」


ゆっくりと語りながら見所の段を上り高座に立つ。すべてを見渡すようにまたは何も見ていないかのように

「足が痛くなったら、適時組み替えてください。それでも痛いなら立ち上がり、静かに一回り歩いても結構です。トイレも必要を感じたら静かに行ってください。いちいち許可を求めなくで良いです。」


言葉が腑に落ちるのを確認するように時を置いて


「この線香が燃え尽きるまで一緒に〈数息〉を行います。先ずは前の人に声が届くような大きさで数を声に出してやってみましょう。ひとーつ、ふた―つ・・・・・」


全員の声が夜明け前の闇に消えゆくを感じながら、とーう、まで数えたところで


「一回休みましょう。深呼吸を1回してください。次はひと―――つ、と長めにとう、まで数えてみましょう。息を吐いてから吸って、ひとーーーつ、ふたーーーつ・・・・・」


館の壁に声が吸い込まれていく。


「一回休みましょう。深呼吸を一つします。楽に呼吸して体に〈寛ぎ〉が広がるのを感じて休みます。

次は声を小さく出します。弱くではなく、自分にしか聞こえない大きさで数を数えます。長さは自分が気持ちよく感じる長さで行ってください。とう、まで数えたら深呼吸を1回して〈寛い〉で次の指示を待ってください。では始めましょう。ひとーーつ、ふた―つ・・・・・」


囁きのような波が打ち寄せては引き混ざり合ってゆく。


「充分休みましたか、では次は自分の頭の中だけに響くような音で行いたいと思いますが、難しいと感じた人は先ほどの出来るだけ小さい音で行ってもいいです。次は線香が燃え尽きるまで各自で行います。疲れたら適宜〈寛ぎ〉を入れて疲れて姿勢が崩れないように心掛けながら行います。では、息を吐いてから始め」


僅かな波紋の重圧が館内の空気を別次元の様に錯覚させる。

「そこまで、息を吐き切って終わりにしてください。どうでしたか。10分ほど休んで五時から次の鍛錬に移りますので、今の位置に同じくすわ居り直し下さい。では休憩です」

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