73 お出迎え
山間部を東西につなぐ山道を町の方に降りたところで、ルイ達は朝餉を取っていた。
「そろそろこの辺で大隊とは遭遇すると読んでいたんですが」
「まあ、資材が重いと馬も荷車もぬかるみに取れれるからな」
「それにしてもこの乾燥パン、もうちょっと何とかならいですかね」
「いや、最初に比べたらゴマも入っておいしくなったよ」
ホビが帯剣の留め具に指を掛けながら、ルイは鯉口に親指を掛けながら
「しかしこの麦焦がしのお茶は焦がし過ぎだろう」
と、イシュトが情けない声を出す間に、ルシアが目を細め、”四人・手練れ・大丈夫"のハンドサインを出した。ルイが途切れることなく会話をつなぐ
「これくらい濃い方が、使いパシリの身にはいいだろう」
その時、屋根替わりの大岩の陰から
「皆さん何処にお使いにいかれるのかな」
ひとりの兵士が剣の柄に手を掛けながら現れた。ルイが立ち上がりながら胸を張り
「私たちはユニヴァ連隊第4大隊隊長に手紙を届けるところです」
「俺はその第4大隊第三中隊のグレ伍長だがこんなところで任務をさぼって飯か」
「自分たちは学生なのでちょうど朝餉を取っておりました」
「あ~教育大隊の学生か」
「そうです」
「よし、中佐の所に連れていってやる。ついてこい」
・・・・・
「ルイ学生、いや臨時中隊隊長のルイ中尉か。アシリオの手紙については追認すると伝えてくれ。それで、ここを登り切って十二野貫道を西へ1キロの所に休憩所を設営したのだな」
「はい、適当な平地がそこにありましたので学生の発案で200名は収容できるテントを設営しています」
「少し戻ることになるな」
「余計な事をしました。気になさらずお進みください」
「そうは言っても、朝からぬかるみをダラダラ登ってきて、兵も馬もつかれているし、荷車の手入れもしたい。小隊を先行させて大休憩の準備をさせたい。」
「ならば脚に自信あるホビが案内します。」
「成る程、厳選した者で使いに来たか。その戦闘兵にしてはひ弱そうなのはなんで連れてきた」
「参謀連を代表して連れてきました。」
「そして、中隊長が自分の部隊を放り出して伝令に来たのはどうしてだ」
「一つは、私の代わりは20名ほどいます。一つは道すがら大隊長殿との意見交換の為です。そして、ルシアの護衛の為です。」
「そうか、この娘がルシアか。クレマから聞いている。ルシア、この後2時間ほどの天候が分かるか」
「はい、隊長。このあたりに限って言えば、今後一刻程は小降りで四半時は晴れ間もあるかと思います」
「よし、マージ―兵長、カボを呼べ。トーマス、トーマス大尉ここへ」
大声でトーマス大尉を呼ぶ。トーマス大尉がやってくると
「どうだ、行けそうか。」
「はい、後一時間ほどで登り切ります」
「よし、ここを登ったら大休憩にする何とか重機を押し上げろ」
「はっ。」
「カボか。このすばしっこそうな嬢ちゃんに案内してもらへ。お前の小隊を連れて行ってそこで大休憩の準備をしろ。飯と馬の世話と荷車の点検をしたい。暗くなるまでには子爵館跡に前進基地と本部を立てたいからその後の道筋も調べてくれ」
一連の命令を出した後
「さてと、どうするかな、ルイ、馬に乗れるか」
「はい。」
「マージ―兵長、トーマス大尉の馬を連れてきて、ルイとルシアを乗せろ、イシュト学生は私の後ろに乗れ」
二人乗りした二頭の馬は大隊の荷車の進行の邪魔にならないように、少し道から外れた草原を足元を選びながらゆっくりと歩み始めた。
「さて、何からお話しようか」




