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帝国学院編  5タップ-2  作者: パーナンダ
帝国学院入学編
70/204

70  防諜活動ー2

 突然入ってきゴールデンヴァーム少佐に驚いてクレマ大尉は硬直した。マリー少尉は反射的に立ち上がりお辞儀礼をしている。ソシ中佐は驚いてなんかいないぞ~風を装って椅子に反り返る。


「少佐わざわざご足労なことです。明日の朝一番に出発予定でしたか」


「それが少々遅れそうなので工兵部隊をお持ちの中佐に相談あがります」


「それはさぞお困りでしょう。で、どのような事でです」


「実は今回は洪水対応が主要任務です。我が大隊は軽装歩兵が主力で槍や盾を装備しての出立ならば即応できるのですが、些か工兵の心得がございませんでした。そこで中佐のお知恵をお借りしよう思った次第です」


「そういう事ですか。基本はシャベルですね。後は土を運ぶ(もっことか土嚢ようの麻袋があると便利ですが連隊備品の数では足りないでしょう」


「そうですか、中佐、どうしたらよいでしょう」


「クレマ大尉、うちが発注した物資はどうなっている」


「大隊にいきわたる様に1000本のシャベルとそれに見合う装備を発注したはずですが、先ほど荷馬車が通過いたしましたので半分ぐらいは集積しているはずです」


「馬鹿者。すべて推測ではないか。人任せにするからそうなるのだ。大体昨日の夜に着隊するからだ、昼間何処をほっつき歩いていたんだ。」


「いえ、遊んでいた訳ではありません。初めて着任する街なので市場調査に出ておりました。」


「それでリーパ名物ナホリターナを食ったわけか」


「どうしてそれをご存じで」


「今朝、洗濯係からトマトソースを常勤シャツにこすり込んだ馬鹿がいるがシャツの汚れの首輪(カラー)が解れていて随分古くなっているから勝手に処分していいかという問い合わせがあった。貴様の事だろう」


「・・・・」


「若い娘らしく少しは気も金も使え。マーシー兵長、大隊本部のトーマス中隊長に500本のシャベルとそれに見合う工兵装備をゴールデンヴァーム少佐の第1大隊にお届けしろと伝令。命令書は後で届けるから日没までには完了しろと伝えてくれ。新品をお渡ししろと念を押しておけ」


「中佐、今日は雨で納品が遅れております。明日の朝までに備品が揃うかどうかわかりません」


「クレマ大尉。計算高いと評判のお前を引っ張ってきたのはこういう時の為だろう。お前の頭は男から巻き上げる貢物の為についているのか」


「ひぇ~」


と頭の後ろの銀細工に両手を回した次の瞬間、手から落ちたカップが割れる。


「貴様そのカップは帝都でいくらで売っていると思っているんだ給料から差っ引くぞ」


「弁償いたします」


「物の値段も知らんのか。貴様の月給では足らんわっ。」


「中佐もし明日の朝まで装備が届かなければどうなるのでしょうか」


「あるもので賄えばいいだろう」


「すると我が第3中隊は丸腰で出発しろと」


「マリー少尉。何の為に貴様にベレー帽を被せていると思うんだ。シャベルが無ければ棒きれでも板切れでも使え。何にもなければ手で掘れ。もし貴様の小隊の馬鹿がマニュキュアが剥がれるからできませんなどとぬかしてみろ。貴様の素っ首、叩き落してレインゴースト山に叩き込んでやる」


「ひぇ~」」


とマリー少尉が泡を吹いて倒れるのをすかさずクレマ大尉がしゃがみこんで抱き留めソファに寝かせる。


中佐が


「みっともないところをお見せした。必ず夕暮れまでにはお届けするので、心安んじて明日に御備えください」


「中佐の御恩には必ず報いますのでご安心を。ではこれで」


と敬礼して颯爽と出て行った。


中佐はにんまりとする。クレマ大尉は少尉の頬を叩き続けていた。

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