67 控室でー2
クレマが五客の紅茶をいれる。
「マリー少尉、お茶を飲んで落ち着いて」
と、クレマが少尉の背を擦る。
「ありがとうございます。・・・・あぁ、美味しい!」
「クレマはお茶の先生だからな、官給品の茶葉でもこれくらいの味は出せるという事だ」
「これも特務ですか?」
「ダンスもお茶も特務に引っ張られる前の仕事よ」
「ダンスもなさるのですか?」
「それが本業かな」
「ぜひ今度、教えてください。」
「機会いがあったらね」
「さて、マリー少尉に元気が戻ったところで、今日の会食の件だが」
「「はい。」」
「出席はユニヴァ連隊長と第一から第四の大隊長とその副官1名づつだ。うちはクレマ副官が着任早々なので同性のマリー少尉が案内という名目で出席することにしよう。マリー少尉が連隊に顔を売るいいチャンスだな」
「はッ。気を引き締めて臨みます」
「そんなに気張らなくても大丈夫だ。話はほとんど隊長連中が行う。もし、発言を求められるとしたら、クレマ大尉にだな。今朝からの着任だから連中にはほとんど情報がない」
「あの中佐殿」
「殿がいらない」
「はい、お話を伺っていると会食は打ち合わせというより、腹の探り合いのような印象を受けますが」
「流石クレマ大尉。その通り。この度の作戦の美味しいところは何処が受けるか、失敗したときは誰に押し付けるかの腹の探り合いだな。副官は隊長たちの言質のメモ取りと自分の隊長が失言しないように又は相手の揚げ足取りが仕事になる。荒れなければほとんど出番はないがな」
「あの~そんな会議に私ごときが同席してもよろしいのでしょうか」
「マリー少尉にはほとんど何もないと思おうが、難しい事を聞かれたら、”小官のあずかり知らぬことです〝か〝隊長殿にお任せしております”くらいの返答で充分だ。変に突っ込まれるとめんどくさいからな」
「気を付けます」
「中佐、連隊長はどのような方ですか」
「大尉はユニヴァ大佐は初めてだな」
「はい」
「まあ、食えない男のひと言だろ」
「もう少し何か情報を」
「三代前だったかな。ここらあたりが帝国直轄領になって実家が地方に転封になった。この地方の元領主の血筋を引くというので領民の受けもいい。本人は田舎暮らしが嫌だと言う訳の分からない理由で、妹に婿を取ってやって領主を継がせている。貴族学院から士官学校を出て帝国軍で順当に親の七光りで出世している風を装っている」
「出来のいいボンボンの様に見える、又は見せているという事でしょうか」
「見せているの方だろう」
「根拠は」
「2年前、私をここに引っ張ってきた。」
「押し売りにあったのでは」
「そう言っているのは大佐だけだろう。世間ではボンボンの少女趣味程度にしか思われていない」
「マリー小隊の事ですか」
「マリー少尉がカワイらしくて本当に助かっているよ」
「お役に立てて、光栄です。」
「第4大隊は中佐の趣味ですよね」
「う~ん、クレマさんの身の振り方が決まったら教えてあげてもイイかな」
「ところで、この後はウリは自由にしていいですよね」
「ウリ君は君の部下じゃないの?」
「私の部下は原隊に5人だけです。ウリは今回特別に来て助けてもらっているだけですので、ちょと遊ばせたいんですけど」
「猫じゃないんだから遊ばせるはないだろう。まあ、今日中に帰ってくるなら好きにしていいよ。」
「クレマ大尉。部下が五人しかいないというのはどういいう事ですか。兵科を指揮しているのではないという事ですか」
「マリー少尉。私には五人の准尉がいるだけなの」
「准尉が五人ってどんな部隊なのですか」
「だから、散々言っているでしょ、特務だって」
「あー特務か。知りたい~」
「特務を知ると、悪夢がくるわよ」
「え”―っ!」




