60 ソシ大隊長と その2
暫くして、マージー兵長がウリを伴って大隊長の執務室に入ってくる。
「貴様がクレマの従者か」
「はい、76TG3-5-13ウリです。」
「成る程。アシリオも見る目があるという事か。さて、クレマは今どういう身分になっている」
「どいう身分といわれましても帝国学院初年学生ですが」
「いや、副官に任命されたのだ最低でも将校扱いだろう」
「はい、それでしたら、中隊学生学力向上計画主導教師拝命のおり、準子爵格を頂きましたのでこの度の副官についてはそのまま中尉格扱いという事です」
「戦時規定に乗っ取ての任命という事だな。では、マージ―兵長、このサイズで大尉の正式戦闘服と夏服常勤服を用意してくれ。着替えたら副官懸章は外して常勤服に付け替える事。あとは洗濯に回せ。別命があるまで食事をとって自室で待機だ。女性宿舎に部屋を取ってやれ。それからウリ学生は何か階級があるか?」
「いえ、特にありません」
「従兵が下士官という訳にはいかんのでな、兵長の正式戦闘服と常勤服をマージ―兵長について行って揃えてもらえ」
「了解しました」
「サインをした任命書を用意しておくのでマージ―兵長、後でブローケン大尉に処理させてくれ」
「何か質問は?」
「あの隊長、私が大尉ですか?」
「不満か」
「いえ、それよりも学生の私が大尉として何をするのですか」
「留守番かな。連絡将校として副官任命しておくから連隊本部に行ってぶらぶらしたり、大隊本部で昼寝したりしてくれ。なにこの雨の騒動が収まるまでの臨時戦時運用だからすぐ学生に戻してあげるよ。ウリ君はマージ―にいろいろ教えてもらっていいよ。明日いっぱいはこの辺にいるから」
「それじゃ、ウリ兵長一緒に行こうか」
マージ―兵長がウリを連れて退出していった。
二人が部屋を出た後、ソシ中佐は執務机の上にある箱の中からシガーを取り出しクレマに勧める。
「いえ、私は」
「え~!いける口でしょ。報告書に書いてあった気がするけど」
「すいません。若気の至りで、フリだけです」
「そう、それは残念。結構いけるよこれ」
「いえ、けっこうです」
「そう、じゃ制服が届いたら、一度ガンルームへきてみんなに紹介するから」
「はあ。しかしいったい何をすればいいのか、皆目見当もつきません」
「それは、今夜と明日いっぱかけて打ち合わせしよう」
「その後は一人でという事ですね」
「貴様の言う通り、とりあえずは私が出張ることになる。しかしどこも人員不足でね。うちも留守を預けられる人材がない。第1,2中隊は今夜中に出立させたい。第3中隊は後詰として作戦計画が固まってから動くがいくら特殊野戦隊とはいえ基本戦闘歩兵だ。第4中隊は特務中隊でね、これは私と一緒に準備ができ次第出立する。取り敢えず関所跡に駐屯本部を置く。そうすると、連隊本部の動きと教育大隊の面倒をみる者がいなくなる。そこで貴様だ。教育大隊の事は何となくわかるだろ、連隊本部は脳筋野郎ばかりだ。貴様の美貌があればなんてことはない。どうだ安心したか」
「ちっとも」
ドアがノックされ副官のブローケン大尉が顔を出す。
「隊長全員揃いました」
「うむ。ブローケン大尉こちら臨時に連絡将校に来てもらったクレマ大尉だ。よろしく頼む」
「分かりました。」
「どうした、ハトが豆鉄砲を食らったような顔をして」
「いえ、随分お若い大尉殿だなと」
「貴様は女を見る目がないな。女は化けるものだ」
「あのお幾つなのでしょうか」
「馬鹿もん。女性に年を聞くものがあるか。私と同じ18に決まっておろうが」
「すいません。中佐殿とは化け方が違うようで気が付きませんでした」
「貴様、私がいくつに見えるのだ」
「は、18です」
「なに、同じでわないか。それでよろしい。」
(10万と18です)心の中でブローケン大尉はつぶやくのであった。




