6 四月一日の反省
3-1小隊が着席してルイの発言を待っている。
「よし、やっと食事にありつける。みんなちゃんと食べて明日に備えよう。食後の片づけが終わったら、
各班で今日の反省・感想を述べあって、その結果を班長が持ち寄り、今日の日報を書くことにする。
それでは感謝して頂きましょう。」
・・・・・・
食堂の片隅でカンテラを一つ真ん中に置いて四人の班長が押し黙っている。
「兎に角今日はいろいろあってどうしたらいいか分からないが、何とかすべき問題をそれぞれ三つづつ上げて
その対策を立てて終わりとしよう。俺から、一つ目は水くみ、二つ目は燕麦粥、三つ目は腹が減った」
「「「ルイに同じ」」」
「やっぱりな。水くみは何気につらいし、時間が掛かる。しかも今時、ポンプではなく滑車式だ。水を汲み上げるのも、手桶で運ぶのも重いし、零れる。トユンはどう思う」
「荷車か猫車、もっと大きな桶があればと思うが」
「クリスはどう思う」
「そうね。実際、2班のエミリーは体力がなくて戦力にならないというより、むしろ邪魔になっているわね。」
「そういう点では4班のオドレも同じかな。いっそ二人には水汲みを離れて他の仕事をやってもらった方が効率がいい気がする・・・それより、うちのソミンが燕麦粥の作り方を知っていてよかったぁ。」
「アマンダ、本当にそう思うよ。あの子にトユン班長が感謝していたって伝えといてくれ」
「おいおい。なんかの抜け駆けか、アピールか。」
「そんなことよりルイ、ソミンが一晩水につけておけば砕いたりしなくても普通に炊けるといってたけど。」
「アマンダ、ソミンを呼んできてくれ。今それを実行しよう」
「そんなことして大丈夫なの?」
「俺達には時間がないんだ。なんとか時間を作り出してその他の問題を解決していくしかないんだ」
「分ったわソミン達を呼んでくる」
「それはそうとエミリーとオドレは水汲みが終わるまで何をしているかだな」
「釜炊か調理ね。」
「水汲みが終わるまで、同時並行で釜炊きと調理準備をしていてもらおう」
「そうね。2班1-10エミリーと4班1-20オドレの二人だけでいいかしら」
「できれば1班の1-05ロランもお願いしたい」
「どうして?」
「ちょっと力仕事には不向きな気がして」
「そうか?それほどひ弱には見えないが」
「まあ~、そうなんだが。細かいところにはよく気が付くし、薪運び程度の力仕事には支障がないと思うので」
「判ったわ。じゃぁこの三人に水汲みが終わるまで、燕麦粥作りと野菜スープの下拵えをお願いすることにしましょう」
「4班全員で来てくれたのか。それなら、ソミンの指導で燕麦粥の仕込みと明日の手順の確認を、そうだなオドレを担当責任者としてに打ち合わせしよう」
「お腹が空いてる問題は、未解決ね」
全員が肩をすくめ溜息をついた。