57 中隊長室にて
中隊長室にはアシリオ以下9人の帝国学院軍専攻の士官候補生が詰めていた。
「やあ、クレマ先生どうしたんですか」
「中隊長、先生はおやめください。学生の行動について報告に上がりました」
・・・・・・
「という事で、僭越ながら明日からの雨に備えて学生が行動しております。」
「今日は聖曜日、休日に屋根を直したりパンを焼いたり水汲みしたり程度の生活行動は別段問題はないと思いますが」
「ありがとうございます。そう言って頂けると安心できます」
「ここでお礼を言われてもね。ところで明日、雨が降らなかったらどうするの?」
「それは、それこそ奉仕活動であったという事で」
「それはそれは奇特な事で。ところでそのルシアという子の天気占いは本当にあたるの?」
「ほぼ確実に雨は降ると思います。最低でも大雨といえるほどには」
「ところでクレマさん。今日はとても魅惑的なお召し物ですが
「すいません。午前中髪を洗ったりしていて、部屋着のままこちらに来てしまいしました」
「僕はとてもうれしいんだけど、その恰好じゃ馬に乗れないから着替えてきて」
「?。よくわかりませんが」
「学生だから正式戦闘服は持ってないか。上は略式夏礼装、下は作業ズボンに半長靴で」
「それに着替えて馬に乗るのですか?」
「そう、大隊本部に伝令に行ってもらう」
「あの、私は学生なので、伝令将校の役は適切な方がいらっしゃると思いますが」
「こうい事は形式が大事なのね。勿論、正使はイノー副長に、君は副使として行ってもらう。」
「私は副使として何をすればいいのでしょうか」
「イノー副長の後ろでニコニコしてればいいよ」
「はあ?」
「ついて行けばわかるから」
「拒否権はないようですね。・・・だとしたら一つ条件があります」
「なに?」
「私、馬に乗るのが怖いので口取りに一人従者を付けさせてください」
「いいけど、誰かいる」
「かけっこの得意な子がいるのでその子に頼みます」
「了解。じゃ15分後に厩舎の前に集合。それまでに伝令書を認めておくから」
・・・・
「ごめんごめん、遅くなっちゃって。制式にのとって伝令文を書くのに手間取ちゃって、えーと、君は何て名前だったっけ」
「3-5-13ウリです」
「ウリ君ね。クレマさんの従者をお願いします。クレマさんはこれ付けて」
「この三つ編みの紐は何でしょうか?」
「知らない?副官懸章だよ。モールとかペンシルとかの方が通りはいいかな。シャツの肩章に取り付けて、・・こうやって腕を通して夏服のシャツの第二ボタンにこれを止めて、右の胸前に垂らすとほらここに鉛筆がいつもある。と、この手帳をあげるから大隊長のいう事をメモしてきてね」
「あの~、イノー副長の秘書みたいなことをすればいいのでしょうか」
「違うよ、君は僕の副官。イノーは副長。副長に伝令をやってもらう。君は伝令の介添え兼見届け人かな。副官は僕の代行者ってことだから君の言動は僕の言動として受けとられ責任はすべて僕の方に来るから気楽にやってきて」
「それって中隊長の分身ってことじゃないですか」
「そうともいえるかな?」
「え~!」




