53 六月十二日の聖曜日
第2週の終わりの六月十二日の聖曜日クレマはオルレアの髪の手入れを手伝いながら午後を過ごしていた。
ベスの手入れしながらジョイはジョーと何か言葉を交わしている。オルレアはタオルで拭かれたり、オイルを塗られたりする髪を物干し用の洗濯紐に預けられている間、オルレアは口を閉ざしていた。ルイがクレマを見つけ近づいてくる。
「聖曜日のお風呂はゆったりできていいね」
「ルイありがとうお陰でオルレアの髪手入れが心置きなくできたわ」
「ジョイとジョーは何をしてるの」
「ベスの髪を風魔術で乾かしているんだけど意見が合わないみたいね」
「なにがいけないの」
「ジョーは金属に干渉する魔術士なんだけれど空気に関しては乾燥した空気を作れるみたいなの」
「それは初耳ですね。金属だけじゃなく空気にも干渉できるんですか」
「それが、乾燥させるだけみたいなんだけど、ジョンソンの作る火魔術で作った熱風よりも冷乾燥風の方が髪にいいんじゃないかって二人で合成魔術?の研究中ってとこね」
「そんなことが出来るんですか」
「魔術の研究はこれからよ、いろいろやってみるしかないわ」
「それで古代語研究なんですね。」
「それはたまたまかな、私が考えた事じゃないんで、アシリオ中隊長のお考えだから」
「そうですか、でも古代魔法や古代魔術の研究は現実味が出てきましたね」
「今日は天気がよくて髪の手入れが外でできて良かったわ」
「そうですね。明日から暫く雨みたいですから」
「雨なの?」
「ええ、テヒが結構降るからって昨日は第2小隊の牛馬労は急遽パン窯の屋根作りになりましたから」
「テヒは天気が分かるの?」
「いえ、テヒの班にいるルシアって子が結構お天気を当てるみたいで、その子が言うには明日あたりから3日間ほど結構な雨が降るとのことで折角のパン窯を雨で痛めないめに大きな屋根を作ったそうです」
「そう、ルシアが」
「あ、ベスが終わったみたいですね。ジョニスとジョーがこちらにやってきます」
「そうね、じゃオルレアは二人に任せて、ルイ明日から三日間のスケジュール調整をしましょう。スタッフを執務室に集めてくれる」
「分かりました。30分後でいいですか」
「それでいいわ。ルイ、ルシアがどこにいるか知っている?」
「多分、テヒと一緒に食糧倉庫かパン窯あたりにいると思いますが」
「ありがとう」
オルレアが走り去ったルイを見送りながらクレマに話しかける
「ルイってなんだかクレマの使い走りね」
「なんてこと言うのオルレア。ルイは学生議会代表よ。少しは敬意をはらってよ」
「でも、クレマの話し方はルイを崇めているようには見えないけど」
「私はいいのよ」
「どうしてクレマならいいの」
「っそ、それは私はルイのダンスの師匠だからよ」
「ルイの師匠はクリスでしょ。正式に足下の礼をとって騎士として帰依したんだから。あんたは単なる学生のダンス研究会の先生でしょ。それもクリスの委託を無理やり受けて礼儀作法の教授という大義名分しかない趣味のダンス教師でしょ」
「余計な事言わなくていいのよ。趣味のダンスでも教師は教師なんだから」
「だったら私は姉弟子よ。クレマの無理やりダンス教室の先輩よ。タメグチで充分よ。」
それを見ていたジョイが腰に両手を当てて、あきれ口調で
「はいはい、じゃれ合う時間は終了です。さっさと乾かしてしまいましょ。こんな情けない姿、オルレアの崇拝者には見せたくないもの」




