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帝国学院編  5タップ-2  作者: パーナンダ
帝国学院入学編
52/204

52 聖曜日は休日ー2

 厨房の裏手にある空き地に打ち捨てられたようにある古い手作りのパン焼き窯の跡地にクレマとテヒは歩いてきた。


「これが新しいパン窯よ」


「エッ、もうできたの」


「そうね、普通は出来ないわよ。魔術士のおかげよ」


「どうやって?」


「建築家と考古学者がパン窯を分析してつまり構造と様式を特定し、土魔術士が使われた土を分析したの」


「成る程、その結果をもとに私が材料を探して」


「テヒが?」


「そう、私は土に馴染みが深くて例えば粘土がどこにあるかもみ殻や藁やガラスなんかがどこにあるのか何となくわかるの。大体の方向が分かればジョニスが的確にさがしだすわ」


「それから、みんなで掘り出したり運んだりこねたりして材料を作って、こねるのが一番大変だったけど建築家が造形を指揮してジョニスが土を確実に指示通りに作り上げて細かい装飾はジョーが手を入れたわ」


「成る程ね。多分魔術士は何をやるべきかイメージがはっきりしていると確実な仕事ができるのよ」


「そういった感じね。一番時間が掛かったのは乾かす事ね。自然乾燥なら3,4か月はかかるところを火魔術士と風魔術士が協力して乾燥させていくの。数学者と考古学者と建築家とが指示を出しながら非常に精妙な作業だったは」


「3人の指示を同時に聞くの?」


「いやいやさすがにそれは無理。三人の話し合いをヒュパが纏めてユニが総監督して指示をだしてジョニスが土の様子を見ながら細かく調整していくの」


「そうそれの結果がこの新しい竈ね」


「流石に金曜、水曜の2日で仕上げるわけにはいかなくて今日一日竈を休ませて明日からうちの2班でいろいろ試作に入るは」


「3-5の2班ね。お願いがあるのだけど」


「何かしら」


「3-5-09ルシアを育てて」


「どういう事」


「ルシアも魔術士なのだけどまだ自覚がないというか自信がないというか変わった魔術だから」


「そうなの?」


「6人目の魔術士なのだと思うのだけどまだ良く判らないの」


「火とか風とか自然現象に干渉するタイプではないと?」


「魔術士だから現象に干渉するタイプだと思うけどどんな現象に干渉できるのかまだ経験がないらしいの」


「それでどんなタイプの魔術士なのか見極めろと」


「そう、お願い。偶然か必然かテヒの班にルシアがいて、テヒの才能は料理というよりは育てることだと思うから私なんかよりは最適なの」


「アンシュアーサ導師から“田となれ”という言葉を頂いたのはそういう事なのね。てっきり田んぼのつまりは大地になる事かと思っていたけど、稲を育てるように(デン)となれという事ね」


「テヒも導師様からお言葉を頂いたのね。私は“(えにし)”を頂いたけどまだ良く判らないは」


「でも今やっていることそのまんまじゃない。人と人を結びつけるのは縁結びじゃないの」


「今はそれでいいと思っているというか、それしかできないのだけれど。もう一度あの日のあの瞑想に行ければ何か分かるかもしれないけれど、今の力量じゃとても無理」


「わかるわ。あの瞑想には一人では行けないもの今度の新月瞑想に期待はしているけど、どうだか」


「同じ気持ちよ。たかだかひと月程度でそれほど力量が上がるとは思えないし、クリスみたいに何年も修行をしているわけじゃないし」


「私もよ。取り敢えず目の前にある課題を力いっぱいやるだけね」


「今のゴタゴタだって何もやらなければやらないで済むことだけど、神様から頂いた課題だと思って素直にハイっといって引き受けているだけよ」


「犯罪以外は素直に引き受けるのね」


「そう、ハイといって引き受けて、引き受けたからには最高を目指すわ」


「クレマお互い頑張りましょう」

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