51 六月六日は聖曜日
六月六日聖曜日、天才料理人のテヒと教師役のクレマが洗い髪を乾かしながら連れだって歩いていた。
「聖曜日の断食は慣れたと思っていたけど、前日の夕餉からとなるとちょっと長いと言いうか何かがマヒしてる感じね」
「テヒもそうなの?そうね、テヒは食べ物の事を考える時間が多いものね」
「クレマは教師役として毎日何を考えているの?」
「私?わたしはね。そうね、つまりいかに自分が『教え』をしないようにできるか、をかんがえてるわ」
「どういうこと?」
「早い話が手抜き・・ってことじゃないのよ。教えられるより教える方が10倍は大変なの」
「それは分かるは、自分でやった方が早いってことはたくさんあるものね」
「それに、教える方が10倍勉強になるでしょ、それを私がひとり占めする訳には行かないってことね」
「表向きの理由ね、本当の狙いは?」
「えへ、楽をしたかったの」
「楽できた?」
「全然、っていうかかえって心労がキツイ」
「どうして?」
「他人に任せるってその人を信頼して信用することだから」
「そうね。出会ってひと月ほどしか経っていない人に教師役を振るのは随分勇気がいるわね」
「でも、ここは帝国学院でしょ。学院の方でそれなりに評価されている人ばかりだから能力的にはそれほど心配はないっていうか、みんな多才ね」
「そう、ジョイとジョニスを紹介してくれてありがとう。二人とも魔術士ね」
「テヒ、あなたの所にこの前目覚めた魔術師6人の内5人集めたから、よろしくね」
「5人?、ジョンソンとジョー、ジョイとジョニスは分かるは、パン窯作りでは才能というか能力をみたわ」
「パン窯造りはどんなだったの?」
「古いパン窯があったのだけど小さなのがね。でも、風雨にさらせれて補修しても使えないだろうという事で分解して同じものを作ってみようという事になったの」
「成る程、で、叩き壊したの?」
「まさか、分解するという事で、ジョニスが同じ第3小隊のクニャーゼ、クニャーゼは建築志望ね。それから何故か天才数学者のベイユを連れてきたの」
「建築に数学者か」
「それだけじゃないはジョンソンが同じ小隊のロレンス、ロレンスは考古学志望ね、それから、同じ2小隊のヒュパをつれてきたの」
「ヒュパ?まあベイユの言っていることが唯一理解できる者ね」
「更に、4小隊からはジョーとジョイとユニが来たは」
「金属と風使いの魔法士に総監督のユニね」
「つまり、火と金と風と土の魔法士に建築と考古学と数学とインテリと料理と総監督。総勢10人ね」
「それでどうやって分解するかが問題になって下手に手を付けると崩れるという事で喧々諤々をやっていたの」
「誰も手を出せないってことね。それで」
「それでそこに、オルレアとクリスとルイが偶々通りかかったわけ」
「たまたまね」
「そしたら、オルレアが野次馬よろしく何やってんの~って感じで首を突っ込んできたと思って」
「目に浮かぶわ」
「可愛い笑顔にメロメロな建築家と考古学者が喜んでご説明に上がっていたら」
「いたら?」
「突然オルレアが、クリスに向かって、こうやってこうしてスパスパスパってやちゃってと言うと」
「やちゃったんだ」
「そう、クリスが、畏まりましたと一言言ったら、縦にこちら側から一閃、向こうに回って一閃、後は横にまわって水平に10回剣を振ったわ。土台はとも角、差し渡し1メートル50四方の立方体を縦に2等分してその半分を水平に10等分にスライスしたのケーキだってあんな風には切れはしないは」
「その後は?」
「ぼ―としちゃったルイを小突き回しながら、ごきげんようって歩き去ったの」
「みんなは?」
「ジョーがナイトソードをペティナイフみたいに使うのかって驚いていたわ」
「クリスにとっは単なる据え物切りにしか過ぎないわね」
「そうは言っても土でできた竈よ、びっくりしたわ」
「天才のやる事はびっくりするものヨ。テヒの料理と同じヨ」




