5 牛馬労研修
第3中隊宿舎1階の1‐3班のドアから出てきた3班班長のトユンは隣の1‐1班のドアをノックすることもなく開け放つと
「おい、ルイこっちはテスト終わったぜ」
「トユン、ノックくらいしろ。こっちもとっくに終わってる。」
「じゃ小隊長に提出するか」
「だいぶ早く終わったが、15時からの事が気になるからな」
「それじゃ行くか」
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小隊長室の前では第1小隊長が待っていた。
「オベール小隊長。小テストを提出します」
「ルイとトユンか随分と遅かったな。2班と4班はとっくに食堂に行ったぞ」
「まだ、13時30分ですよ。女子は気が早いな」
「小隊長」
「なんだトユン」
「こんな簡単なテスト何か意味があるんですか?」
「まあ、ちゃんとかな文字が書けるか、四則演算ができるかの確認だな」
「こんなのは10歳児ならだれでもできるでしょ」
「村の学校で教えるレベルの問題だからな。それより少し早いが班員を連れて食堂に集合せよ」
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「改めて、自己紹介する。74TG軍専オベールだ。お前たち第3中隊第1小隊を担当する。
この中隊でお前たちが最初に牛馬労を担当する。説明するより実際にやってみよう。
全員厨房に在る手桶をもって裏庭の井戸前に集合」
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「井戸の水をくみ上げ、厨房の水瓶と厠棟の手水瓶、および風呂桶に毎朝・昼、水を一杯に汲むのが一つ目の牛馬労である。ルイ号令を掛け小隊全員で水くみを始めよ」
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「結構時間が掛かったな。次の牛馬労は薪割りである。今日はこの乾燥した丸太を一本、見本の大きさに切り割り、割薪束を作って薪小屋に積み上げるのが二つ目の牛馬労であるでは、2班班長クリス指揮を取れ」
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「B分隊は各自薪束を一つ持ち厨房に移動せよ」
「3班はすべての竈に火を熾し大鍋に湯を沸かせ。トユン班長指揮を取れ」
「4班は燕麦粥を作る準備をせよ。アマンダ班長指揮を取れ」
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「何とか17時の夕食に間に合わせることが出来た。その他の雑用についてはその都度指示を出してゆくが
やるべき事がはっきりしているので、やり方についてはお前たちの方法でやっても良い。今日の実地訓練の反省と明日からの対策を夕食片付けの後、食堂で話し合え。ただし消灯は20時であることを忘れずに以上。解散」」