40 情報収取
食休みの時間が終わり、午後の課業時間が始まった。クレマは中隊長室のドアをノックする。
「これはクレマ先生、どうかなさいましたか」
「中隊長、先生はおやめください。」
「これは失礼しました。レディ・クレマ」
「(。_。)ウン、中隊長。よろしければ、今までの認定試験の学生の答案をお貸し頂けませんか」
「もちろんよろしいですが、何か気にかかる事でも」
「2名だけ合格していないのでその原因が分かればと思いまして」
「カザートとホトの事か」
「はい。」
「まあ、確信犯というか、種族的な問題があるんだが、反帝国思想とかいうのでないので伝統だな」
「種族的伝統でしょうか」
「そうだ」
「それでしたら、あまり深追いするのやめますが、今後の参考資料に全員の答案をお貸しください」
「あ~これね。僕には必要のないものだから先生にお返しします。という事で処分は適切にお願いしますね。」
「では、私の方で処分いたします。ところで今日は突然、行進練習がありましたが、予定通りの事だったんでしょうか」
「いやそれが、今朝、大隊本部から突然命令が来て、あの形になったんだがびっくりさせちゃったね」
「いえ、私達は構わないのですが、調理班が慌てふためいていたみたいですね」
「でもちゃんと献立表通りだったよね。何か問題でも」
「いえ、特には。それより、大隊本部からの予定変更命令があるのは恒例なのでしょうか。」
「う~ん、僕らの時にはなっかたと思うけど、ほら、僕らも学生でしょ。学院の軍専攻3年生の部隊経営訓練だからね。本当のところは分からないんだよ。」
「3年生の訓練の一環なら大隊長が指導教官なのですか?」
「そうだよ。シャーリー少佐の指示に従って・・・あれ?ソシ中佐?」
「どうしたんですか」
「命令書の署名がソシ中佐となっている」
「それがどうかしたんですか?」
「君は軍隊の事は知らないと思うが、軍隊も官僚組織とはいえ、いや、官僚組織だからこそこの時期の人事異動はおかしい」
「おかしいと言われましても」
「4月から6月の76帝国学院教育大隊隊長の任を完遂した功績を持って人事考課の対象となるのに、ひと月以上も残して移動とは、病気か事故か?それなら我々にも一言あるはずだし、本部の副官あたりが代理で任務を引き継ぐはず」
「それなのに?でしょうか」
「そう、それなのに、何の通達もなくしかも後任には中佐が着任している。どういったことが考えられる」
「あの~、中佐だと何かまずい事でも」
「ある。軍隊というところは30歳前に少佐になるのがエリートの証だ。大尉と少佐の間には厚い壁がある。そこを乗り越えて30代で少佐として深く国と軍に関わっていく。40代で中佐として例えば戦争の準備を10年かけて行う。50代で自分の担いだ将官と共に戦争を遂行する。自分は大佐として現場の指揮を執る。これが戦闘将校の一つの夢だ。又は、特異な分野やでやりたい放題出来るのが中佐の身分だ。
00ナンバーを取るとかな」
「00ナンバーを取ると何かいいことあるんですか」
「ない。単なる都市伝説だ」
「それで、ソシ中佐とはどのような方でしょうか」
「知らない。今、幹部名鑑を調べている・・・」
「そんなの持ち歩いているんですか」
「あった、ソシ・グラスモウ中佐 一貫して主計畑を歩いてる。49歳・・・あやしい」
「怪しいんですか」
「45TG卒、女性、主計将校、30歳で少佐に昇進後、5年間軍大学に在籍、その後軍関係の施設を渡り歩いて45歳で中佐に」
「ここに来る前は何処に?」
「この名鑑は74年版だが、軍の地図製作局から出向で国土地理院だな」
「なんだか怪しくなってきました」
「独身。ワインが趣味。私の体には赤ワインが流れている。だそうだ。」




