30 授業計画
ナンジャモンジャの木陰は柔らかく、五月の光を揺らしていた。
「クレア塾の対象者が50人。一人20分程度話してもらうとして、一日に三人、週に15人。第三週から始めれば五月中には45人か」
「クレア先生は基礎授業は何時間ほど予定しているのでしょうかね」
「アダン助教、良い質問です。読んで済ませられる知識の類は、各自に個別指示して指定図書を回し読みという形で済ませることを考えています。全員一斉授業が必要なものは古語です。読み書きは断念しますが、文字表と発音を覚ええることに力を注ぎます。」
「何故に古語を、そして何語を学ぶ」
「学院からの要請です。リシャ語文字とルーン文字、別系統でサンス文字とシユウ文字の一部です」
「そんなに」
「専門に進んだ時に改めてどれかを必要に迫れて学ぶことになるそうですが、全く知らないよりは昔付き合ったことがある方がいいでしょ。」
「まあ、そうだな。それから?」
「頭が痛いのは初等数学と基礎数学をどう教えるかね」
「他の中隊隊員から初等数学を教えられる奴を募集すべきだね。そいつらに初等数学と代数までは教えてもらってそこから先はその後考えるしかないな」
「みんな地頭はいいのだから初等数学をやれば代数はすぐね。法服や軍専志望者には統計、幾何、解析、応用数学の紹介程度はしたいと思うの」
「専門に進んだ時そういえばそういうのがあった程度で後は個人の判断か」
「仕方がないは、軍官僚も法服官僚も数学的思考が出来ないとやっていけない時代よ」
「そんなに気負う必要はないだろう。貴族学院もそこまで高度な事は教えていないはずだ」
「アダン、ここだけの話だけど、帝国は魔法に興味があるらしいの」
「中隊長がそう言っていたのか」
「いえ、私の推測だけど。・・資料から何となく、古語と論理思考を重視するその先という事よ」
「ねえ、クレマ。今、魔法って言った?」
「なんでもないわ、オルレア気にしないで」
「えとえとえとねぇ。ベスが言っていたんだけど、ジョイの手からは風が吹いてくるんだって」
「???」
「ほら、3-4-19のジョイ。仕方なくベスの髪担当になったんだけど、今月に入ってベスの髪を乾かすのがすごく速くなったんですって」
「誰がそんなこと言っていたの、オルレア」
「ベスよ。ほら、ベスとわたくしは同じ悩みを持つ者同士でしょ。それでお互い愚痴ってたら、ベスが先週も髪を洗ったていうじゃない。洗う時間はそれほどだけどジョイが髪を梳かすとどんどん髪が乾いていくんですって、うらやましくてベスに頼んで今週はわたくしを当たってくれるように頼んだのよ」
「髪が乾く時間がはやくなったって?」
「ベスも良く判らないけどどうも風が吹いているみたいだって、それでジョイは風使いかもっていってたのよ」
「そんなことってあるかしら」
「そういえば」
「なによ、ルイ。あんたも乾かしてもらったの」
「いや、テヒの話を思い出したんだ」
「テヒは料理の天才だけど、テヒも魔法使い?」
「いや、テヒのJJの事だ」
「テヒのJJ?]
「ほら、調理実習の相談をテヒとしていた時、テヒが第2小隊のジョンソンと第4小隊のジョーはテヒのスタッフとして何とか確保してくれと頼まれたんだ」
「ソミンじゃなくて」
「ソミンは相談役だな。なんでもジョンソンとジョーは右腕と左腕だそうだ。」
「どっちが右でどっちが左なの」
「オルレア。いまはそんな突っ込みはいらないの。3-2-05ジョンソンといえばビヤ樽みたいな体形でテヒの趣味じゃない様な」
「クリスだってすぐコイバナにするくせに」
「そうだな、3-4-14のジョーは細くてカミソリみたいな目をしていた、こちらもテヒの好みではないな」
「あら、アダン。テヒの好みまでよくご存じなのね」
「もうー。クレマもアダンもわたくしを無視して~」




