17 茶話会は続く
オルレアが
「トントントンでどういう意味ですか。この間クリスが教えてくれたんです。帝国ではこうやって親指を立てるハンドサインがあるって。意味は大丈夫とかOKとかいいね!とかいろいろあって、決まるとカッコいいんですって。だから、わたくしもやってみたかったんだけど。導師様のトントントンも優し気でカッコいいですね。ぜひ教えて頂きたいです」
「オルレアさんはクリスさんとお友達になったんですか?」
「いえ、クリスとクレマとは国・・こきょうが同じで、幼馴染です。」
「そうですか。三人が同じ故郷で幼馴染とは皆さんとても優秀なんですね」
「いえ、私はいつも叱られてばかりで、叱るのはクレマですけど。クレマはわたくしの二つ違いの従妹だけどわたくしの家庭教師なんです。」
「クレマさんはオルレアさんより二歳年上なのにあなたの家庭教師をなさるほど優秀なのですね」
「はい、入学式では入学生代表の宣誓をしました。けど、厳しくて怖いんです。すぐ怒るんです」
「あー、あの亜麻色の髪の華麗な方ですか。ところで、クリスさんはどんな方ですか」
「クリスは兎に角強いんです。剣も槍も強くて、大男の兵士も投げ飛ばしちゃうんです。それに騎乗した姿が凛々しいんです。あんまり強いんで新年の祝賀会で騎士爵をもらったんです。とてもわたくしと同じ年とは思えません。そういえば、初日にいきなり中隊長室に呼ばれていましたよね。」
「ええ、第1小隊は何かと大変なので分隊長とお二人をお呼びして労ったのですが、何か仰っていましたか」
「いえ、何にも。なんでもなかったって、タダ、お茶を淹れて帰ってきたといってました。クリスのお茶は美味しかったでしょ。でも、クレマのお茶はもっと美味しいですよ。」
と、言ったとたんオルレアは押し黙り固まった。
「どうしました」
「あのー、わたくしお茶を淹れてません!!。」
「いえ、気になさらず。」
「でも、当番学生がお茶を淹れるのではないんですか?」
「今日は中隊長さんがお茶を淹れたかったのかもしれません。お気に召しませんでしたか」
「いえ、たいへんおいしゅうございました。」
「それは良かったです。それではもう一杯中隊長さんに入れて頂きましょう」
「ハイ。中隊長さんのお茶は男らしくて好きです」
「それは良かったです。では、男らしいお茶をお願いしましょう。」
・・・・
中隊長が導師の前にお茶を置くと導師はトントントンと人差し指でテーブルを叩打した。
「あっそれ。それが知りたかったんです」
「人差し指の指頭でテーブルをトントントンとする行為は・・・アダン君はご存じですか?」
「はい、多分、ダンケの意味だと」
「アダン君は外国に長くいたとか、見たことがおありですか」
「はい、国や地域によって多少やり方が違うようですが、異国の言葉でダンケを現すなのかと思います」
「そうですね。ここでは三回でダンケを現すのが定着したようです」
「あのー、ダンケとは何んなのでしょうか」
「これは失敬。ダンケとは異国の言葉で“ありがとう"という意味です。たった三音で感謝の気持ちを表す
素敵な言葉です」
「ダンケ・・・ありがとう・・」
「会話を途切らせることなく、かといって給仕の方を無視することなく、感謝を伝えるさりげない仕草です」
「逃げ恥」好きなんでパクりました。m(__)m




