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1 学院長挨拶
「新入生諸君。デルミエス帝国学院は君たちを心から歓迎する。25年後、我が帝国は建国100周年を迎える。その時、諸君は帝国の中核である。
帝国の発展・栄光を担うのは諸君である。よく学び、研鑽を積むのが諸君らの忠誠である。おおいに励め。以上」
「学院長に対して礼。続いて新入生代表宣誓」
「私たち、76年度帝国学院入学者500名は、
おおいに学びおおいに楽しみ世界に幸福をもたらすために
三年後この学院を巣立つことを誓います。
新入生代表クレマ・エンスポール」
腰まで流れる亜麻色の髪、優雅なドレス捌きで自席に戻るクレマ・エンスポールの姿に、溜息だろうか微風が流れた。
頭を一振りして気持ちを立て直した司会が宣言した。
「これにて入学式典を終える。この後は、各中隊に分かれて移動となる。解散」
軍の練兵場に集まった500名の新入生と入学式典に参加したそれを上回る関係者の人の群れが、
それぞれの目的地に向かって動き出した。
4月1日春分の空は、天の夏を迎えようとしていた。