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反悪魔的建国記  作者: カチカチ豆腐
2/5

2話 転生

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 ここは何処だろう。


 目が開かない。


 体の感覚がない。


 おそらくは、浮いているのだろう。


 それだけは分かるのだ。


 何かきた。


 黒い何かだ。


 弱っているみたい。


 こっちに向かってくる。


 恐ろしくて、怖くて、残虐なにかが俺の中に入ってくる。


 自分が焼けただれてるみたいだ。


 熱い。


 熱い。熱い。


熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い!






 

 





「ハッ!う、頭が。」



 頭痛がひどい。頭がガンガンする。まるで内側からトンカチで殴られてるみたいだ。それに気分が重い。酷く辛い夢を見ていた気がする。

 そんな激しい頭痛に耐えながらも、なんとか体を起こしゆっくりと目を開ける。

 

 そんな俺を暖かい日差しで迎える太陽が二つ。


 ん?二つ?……え?

 


 いくら目をこすっても、まばたきしても、太陽は二つ。大きい太陽と小さい太陽がある。二つあるせいか、酷く眩しい。太陽が二つなんて有り得ない。俺はおかしくなってしまったのだろうか?


 てか、俺って死んだんじゃなかったっけ?


 そうだ、通り魔に襲われて、それでこけて刺されたんだっけか。でも刺されたような痛みもないし、傷だって見当たらないな。

 んー…なんかおかしいな。記憶が曖昧だ。思い出そうにも頭痛のせいで頭が働かない。

 

 あれ?じゃあ何で俺生きてんの?奇跡的に助かったのか?じゃあ、何で外にいるんだ?普通病院だろ。一体どうなってるんだよ…

 明らかにおかしい。何か異常だ。


 ここがどこか確認しようと、周りを見渡すが、鬱蒼と生い茂った木しかない。

 その木々の間からやってくる涼しい風が体を撫でてとても心地いい。


 きもち~


 「いやいや、風に当たってる場合じゃねぇ!」


 一度冷静にならなきゃ。深呼吸しよう。


 「スゥーーーー、ハァーーーー」



 よし、まずはここがどこか調べよう。

 とりあえず、この森を抜けなきゃいけないな。木がありすぎて周りが見えないし。

 でも森を抜けようにも、どっちに進めばいいか分からんしな。勘でいっか。





 



 小一時間程歩いただろうか?かなり進んだと思う。

 しかし、いくら進んでも森、森、森、森、森


 「あぁぁぁ何もなーい!」


 歩いても歩いても、周りの景色は木だらけ、動物の気配は時々するが、人影なんて全くない。

 ずっと歩きっぱなしで肉体的にも、精神的にもかなり疲れた。


 少し休もう。ここら辺は草が生えてるから寝転んでも大丈夫そうだ。

 「ふぁ~」

 眠たくなってきたな。こんな状況で寝てる場合じゃないのはわかってるけど、襲い来る睡魔に抗うことはできないのだ。


 





 「ん~そんなに食べられないよ。あ、ちょっもう無理だって!フガァ! ハッ! …夢か。」 

 なにやら変な夢を見ていた気がするが、どうでもいいか。

 

 周りの木々達や二つある太陽もおはようと、出迎えてくれてる。

 それにしても、やっぱりこれは夢じゃなかったか。起きたら夢オチを期待してたんだけどな。

 


 俺は立ち上がって、大きく伸びをする。

 しかし、地面の上に寝ていたというのに寝心地は悪くなかったな。頭痛も治ったし。これも自然のパワーか。


 さて、いつまでもここにいたってしょうがない。

 いざ、出発!



 


 不安な気持ちをごまかすように鼻歌を歌いながら歩く。気がつくと鼻歌では収まらず、大熱唱してしまった。


 恥ずかしっ、周りに誰もいないよな?

 周りを確認するが人影はない。これで一安心。


 そんな事を考えていると、水の流れる音が聞こえてきた。

 誰かさんが大熱唱していたせいで、今まで気づかなかった。

 

 誰だよ、大熱唱してた奴は。危うく水を見逃す所だったじゃないか。

 もう俺の喉はカラカラだ。やっと水にありつける。


 水とのご対面に希望を膨らまして、音の聞こえる方へ歩いていく。

 するとついに森を抜けた。


 そして、


 「川だ!」

 やっと見つけたぞお水ちゃん!もう逃げられないぜ。俺といいことしようや。ぐへへ

 


 

 俺はお水ちゃんに飛びつくように近づく。そして、お水ちゃんを口にいれようとした寸前のところで手が止まる。

 日差しに当てられ鏡のように光るお水ちゃんには、綺麗な黒髪の美青年が映っていた。


 「うわ!」


 後ろを振り向くが誰もいない。

 もう一度お水ちゃんを見る。


 俺が左に動けば、反射した美青年も左に動く。

 お水ちゃんはいたずらが好きなようだ。ってなわけない。

 どうやら俺はこの青年になったようだ。


 もう一度水に映った俺を見る。

 吸い込まれそうなほど綺麗な黒色の髪、シュッとしつつもどこか中性的な顔つき。

 フツメンだった俺がこんなイケメンになったなんて!

 

 にわかには信じられないが、この際何だっていい!

 だって俺はイケメンになったのだから!


 

 水に映った俺に見惚れていると、水に反射した何かが目に映る。


 ん、なんだこれ


 俺の後ろで何かが揺らめいている。

 

 これは尻尾?まさか!?

 俺は手探りで自分のお尻辺りを探る。

 

 やっぱり生えてる!全然気づかなかったな。


 

 尻尾をいじくるが、確かに触られてる感覚がある。尻尾を意識すれば動かすこともできた。

 どうやら本当に俺の尻尾のようだ。


 さすがにもうここまでくれば認めるしかない。

 太陽が二つあるし、容姿は変わるし、尻尾がはえてる。


 薄々予想はしていたが、


 



 どうやら俺は異世界転生してしまったらしい。それも人外に。

 





読んでくださってありがとうございます。

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