1話 死亡
処女作です。人外転生ものに憧れて書き始めました。
俺の名前は 山岸 蛍
何の変哲もない、高校二年生だ。
実は金髪美少女の彼女がいるとか、異世界帰りの勇者だとかそんなこと
ある訳ない。
あ、もちろん普通の彼女もいないよ。
え、なんでかって?
そんなの作ろうとしてないだけさ。
恋愛なんかに時間を費やすより、もっと有意義なことをしたいからね。
決して、モテないとか、女子との接点がないとかじゃないよ。
そうだよ、きっとそう。
親は俺の将来が不安なのか、最近塾に通わされてる。
これでも頭は良い方なんだけどなー。
最近は勉強の副作用で、心の中で独り言を喋るようになってしまった。
おかげで、今も下らない自己紹介をしてる。
今は塾から徒歩十分ほどの自宅へと帰る途中。人混みをかき分けて進んでいく。
信号が赤になり、待ち時間が暇なのでおもむろにスマホを取り出し、いじりだす。
なになに、通り魔により死傷者多数、犯人は以前逃走中。場所は山田県……
下野区ってここじゃん!
物騒だなー、何でこんなことするんだろうな。
それなりの事情があったのだろうか。でもこういう事件の動機って、楽しいからとか、イラついたとかだったら殺された人はやるせないだろうな。
いや、そうじゃなくても、殺されるのはイヤだな。
「あ、やべ。青なってる。」
ニュースに夢中だったせいで気づかなかった。また信号、待つのなんて懲り懲りだから、急いで渡ろう。
そう思って、横断歩道に足を踏み出した時だった。
「キャァァァァァァァァアア」
後ろから女性の甲高い悲鳴が聞こえてきた。
驚いてビクッとしながらも、何があったのか確認するため振り向く。
そこには腹から大量の血を流しながら倒れている男性と、その恋人らしき女性が悲鳴をあげている。
そして赤黒い血で濡れた包丁を持った男がいた。
明らかにこの男がやったのだろう。
俺の脳裏に先ほどみたニュースが浮かんだ。
『通り魔により死傷者多数』
あのニュースの犯人はこの男なのだろうか?そうでなくても、危険な状況には変わりない。
俺の足は小刻みに震えている。
男は周りを見渡し、俺に狙いを定めたのか、こっちへと走ってくる。
ヤバい、マジでヤバい!
何で俺を狙うんだよ!他にも人がいるだろ!と、考えてしまうのは仕方のないことだろう。
俺が焦っている間にも男はこちらへ向かってくる。俺の足は激しい恐怖のせいか思うように動かない。
動けって!何で動かないんだよ!
男の走るスピードは速く、俺との距離はもう数メートルしかない。やっとの思いで走り出すもいつものように走ることができない。恐怖に竦んで思うように動かない足に苛立ちながらも必死に走る。
そして、
転んだ
それはもう、盛大に転んだ。頭から固いコンクリートに突っ込み、鼻からは血がでている。
男が包丁を振りかぶる。
もう終わりだ。
俺はここで死んでしまうのだろうか?まだやり残したことは、沢山あるんだけどな。
彼女作れば良かったとか、もっと遊びまわれば良かったとか、彼女作れば良かったとか。
恐怖で泣きそうになりながら、これから俺を襲うであろう痛みに耐えるように目をぐっと閉じる。
ふと頭に走馬灯のようなものが浮かぶ。
友達の少なかった俺はアニメや映画、漫画ばかり見ていた。特に登場人物がカッコ良く死ぬシーンがお気に入りで、何回も見返した。それに影響されて、昔から死に様はカッコ良くしようと思っていたが、それも叶いそうにない。
くそ、こんなカッコ悪い死に方じゃ、成仏できないよ。
周囲から見れば男子高校生が通り魔に刺される寸前の光景。そんな異様な光景に大きな乱入者が現れる。
その正体であるトラックは、通り魔と男子高校生を弾き飛ばして歩道に突っ込んでいった。
飛ばされた二人は宙を舞い地面に叩きつけられる。
あまりの展開に周囲の人々は理解が追いつかなかった。その当事者である二人もまた、同じである。
こうして、俺は死んだ。
居眠り運転のトラックに轢かれたのだ。
読んでくださってありがとうございます。
良ければ感想、アドバイスお願いします。