詠み人知らず
春に舞う桜のごとく儚き君よ
もうじき私は君の側を離れてしまうだろう
そういう運命なのだ
その前にこの歌を詠もう
我が君は千代に八千代に
さざれ石の巌となりて苔のむすまで
気に入ってくれただろうか
恥ずかしいことに
この歌を貴族たちに聴かれてしまったよ
さてどうなることやら
彼らの冷やかしは本当に困ったものだ
黙って蹴鞠でもしていれば良いのに
そんなことなど忘れて
最後の望月を共に見よう
君はどんな歌を返してくれるんだい
たとえこの体が朽ちても
永久に愛し続けるよ
もし君の心がはらりと散りそうになったとき
我が歌を思い出してくれ
童のように純粋な恋の歌を