かつて神だった君へ送る言葉
割と意味不明です。自分で言うのもなんだけれど。
人間は弱い。
あなたがそう作ったんだ。
弱いから助け合う。
弱いから優しくなれる。
そう在れるように。
そう成れるように。
かつての人は、まさしくあなたの似姿だった。
誰もが優しかった。
誰もが不幸を悲しんで、嫌っていた。
だから、かつての世界はまさに理想の世界だった。
けれど、人はあなたの似姿でしかなかった。
そして、あなた以上の存在になることはなかった。
似姿たちにとって世界は世界でしかなかったが、あなたにとって世界は自分を写した箱庭の中でしかなかった。
それは所詮、あなたのおままごとでしかなかった。
あなたはそのことを悲しんでしまった。
あなたには友がいなかった。
孤高だ。
孤独だ。
唯一の存在。
世界を見守る観測者。
あなたは友を欲しがった。
あなたの似姿たちと同じように。
けれどあなたの作った優しさに満ちた世界では、刺激の足りない世界では、あなたが作り出せるもの以下しか生み出さない。
あなたにとってそれは無数の駄作だった。
愛すべき無数の駄作は、けれど所詮駄作でしかない。
あなたの似姿は、あなたの望む、あなたの想像以上のものには決してなることはできなかった。
駄作に埋もれるあなたは、珠玉の一作を望んだ。
あなたの想像以上の似姿が、あなたの隣に現れることを願った。
あなたの友が生まれることを望んだ。
その瞬間に。
唯一の存在は、唯一であることを放棄しようとした。
あなたの作り出した優しい世界は、珠玉を生み出すには至らない。
だからあなたは、あなたの世界を崩した。
厳しさに優しさは磨り減り。
崩れたバランスは悪意を生み出した。
けれど、人の弱さは変わらない。
長い長い間、人は相争った。
錬磨し、研磨し、琢磨した。
お互いを喰らいあい、殺しあう。
あなたの似姿たちが。
あなたは未だ唯一の存在。
孤高で、孤独で。
世界を見守る観測者。
似姿が成長して行く姿も、歪んでいく姿も。
未だ珠玉の存在には程遠い。
あなたの隣には誰もいない。
けれど世界の刺激は増していく一方で。
あなたに厳しい世界の刺激は辛すぎた。
あなたは摩耗していく。
似姿たちが有意義に磨きあった分も。
似姿たちが無意味に削りあった分も。
そしてあなたは。
願いが果たされないまま、消えてしまった。
この世界はままならないことで満ちている。
たったひとつの願いを求めて。
もう叶わない願いを求めて。
もういない優しかった観測者のために、珠玉の存在を求め続ける。
優しい世界は何も生み出さず。
厳しい世界はあなたすらも殺してしまった。
あなたが見くびってしまったせいだ。
人間の弱さを。人間の歩みの遅さを。
簡単な話。
人間の弱さは神様をも殺してしまうというお話。
神様…
理想郷を生み出し、見守り続けていたが、理想郷の中のみんなには友や家族や恋人がいるのに、自分にだけはいなかった。
羨ましく思ってしまった。自分の隣に誰もいないのをみて、悲しくて一雫の涙がこぼれた。
肉体的にも精神的にも超越しているけど、女の子。
読み手…
神様をずっと昔から知っている存在。けれど、目の前に現れることはできなかった。