メイデン=僕 (めい子)
1
僕はメイデン(めい子を、この世界ではそう呼ぶことにする)と、朝のトマトの収穫をする。
その時ふと、現実で、精神病院の庭に植えてあったトマトを思い出して、ハッと気がつく。
そうか。
めい子が、現実で僕を呼びかけてくれるから、この世界に、現実のトマトなどが干渉してきたのだ。
そして、このメイデンだって、そのような干渉の一つなのだろう。
「メイデン」
「みょん?」
「Wii Uやなんかを届けてくれた『誰かさん』はね、メイデン、君自身なんだよ」
メイデンぽかんとしている。
2
数式で表すとこうなる。
メイデン=僕 (めい子)
めい子が僕の心に落とした影がメイデンだ。
だから厳密にはめい子ではない。
3
「メイデン、それはまだ青いよ」
「これぐらいのが好きなんだみょん」
「そんな青いの食べて、お腹壊したらどうするんだよ」
「だまれ、お前の方が青二才みょん」
4
現実に一度覚めて戻ってから、僕はこれが夢だと気付いたままだ。
だから現実の「干渉」を、もう少し訓練すれば、思うままできるようになると思う。
しかし明晰夢と違って、空を飛ぶとか、そういう「ルール違反」はできないようだった。
なんと言っても、ここは誰かの作ったルールに支配される世界、「ワールズエンドガーデン」なのだから。