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そういう時はカニバリズムみょん、あるいはこれからの倫理の話をしよう、そして厭世主義者のお望みの世界
1
人類がいなくなって、自然はかえって元気になった。
やがて雑草は窓をおおい隠して、家の中を薄暗くした。
2
今お茶を飲んでる。
「草ぼうぼうみょん」
「風流だねえ」
僕はなぐられた。
「このままだとシェルターに行けなくなっちゃうみょん!」
3
僕たちは一日に二回、家とシェルターを往復することに決めた。そうして道を作るのだ。
「もしもシェルターの食料が尽きたら終わりだね」
わざと地面を強く踏みしめながら、僕は言った。
「そういう時は、カニバリズムみょん!」
「これからの倫理の話をしよう」
「こんなときに倫理も糞もないみょん」
4
僕たちは屋根の上に登ってお月見をしている。
「風流みょん」
「ああ」と僕は言った。「厭世主義者のお望みの世界だ」
メイデンのお腹が鳴った。
そして僕を見つめてよだれをたらす。
「いやまだ早えよ!」