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人類を救出して人類滅亡
…………暗闇だけがあった。
1
人類を救済して人類滅亡、ちょうど(注1)そんなだった。
テレビでヒーローものの最終回を見ていたのである。
テレビの中で、人類が救われた瞬間に、現実では、地球に隕石が落ちてきたのである。
b
流体力学的なアレである。
隕石の爆風の中、僕は幼馴染のメイデンの家にいたのである。
流体力学的なアレで、たまたまメイデンの家の周りだけが、無傷だったのである。
だから僕とメイデンだけが、人類で生き残ったのである(メイデンの両親は仕事で家にいませんでした)。
γ
窓から焼け野原を見つつ、メイデン言う。
「アダムとイヴみょん!」(作者注:メイデンの語尾は「みょん」である)
メイデン、僕に覆いかぶさる。
「わたしたちの子孫を残すみょん」
「ま、まだ、早いんじゃないかな。まだ生き残っている人がいるかもしれないよ」
僕は窓を見る。
そして絶望的な気持ちになったのである。