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鳥籠のお姫様
いつだって私は幸せでした
お父様にお母さま
可愛い弟に頼もしい爺や
お城の皆さんに囲まれていたのですから
いつだって私は窮屈でした
大きな壁に小さなお城
侵入者を拒む厚い門
たくさんの物に囲まれていたのですから
だから私は抜け出しました
もっと外を見たくて
もっと世界を知りたくて
いつだって私は無知でした
私が夢見た外の世界は
荒れ果てた土地に燃やされた家屋
たくさんの死体に囲まれていました
ちがう!
私が見たいのはこんな世界じゃありません!
たくさんの笑顔に包まれて
たくさんの幸せに溢れてて
平和で明るい世界が見たかったのです!
こんな世界なら見なければよかった
外に出ようと思わなければよかった
お城の中で飼われていた私は
こんな事実を知る筈もなく
ただそこにある幸せを享受していただけなのです
呆然と立ち尽くす私に
ある男の人が声をかけました
「君を愛してあげるよお姫様」