6月27日 犬神
スミカがアらされた。〝クロい〟イッタンモメンがオいかけてくる。
ニげろ、ニげろ、ニげろ、ニげろ。ニげられない。
イッタンモメンにツカまった。コロされる。そんなのはイヤだ。どうしてこんなメにアわないといけない、オマエはダレだ、コロしてやる。
テイコウできなかった。カラダをササされてナニかをヌかれた。チカラがでない。
「ご無事ですか! 乙梅様!」
「何故ついて来たのです。危険ですから下がりなさいと言ったでしょう」
「何を仰っているのです! 貴方は綿之瀬家の現頭首なのですよ?! 半妖の力を持っていることは重々承知の上ですが、危険な行動は謹んでください!」
「言っている意味がよくわかりませんね。半妖の力を持っているからこそ、人より死なない体を持っているからこそ、私は現頭首であり最前線で戦うのですよ」
ヒトになった〝クロい〟イッタンモメンが、サっていく。マて。まだオわってない。せめてカタをクいちぎって──いや、できない。カラダが、ウゴかない。
シねシねシねシねシねシねシねシね!!!!
ウラむ、ユルさない、ヒトよ、ホロびろ。ウゴかないカラダがヘンケイしていく。ジメンにのたうちマワって痛いみにタエえて、ニクいアイテをオいかけてコロそうとする。
『ソレ以上ハ、モドれなくなるよ』
オダやかなコエがそのコウドウをトめた。コエだけでカラダがトまったのはフシギなカンカクで、フりカエってミたアイテにオドロく。
──サトリだ。
サトリは、そこにタっているだけだった。テをダすことは、しなかった。
『イマ……』
『気ヅイタカイ? 自分ガ今、何者ニナロウトシテイタノカヲ』
『…………』
『大丈夫。モウナラナイヨ』
『ホントニ』
『本当ダ』
『オマエ、ナゼ、トメタ』
『アノ人間ガ君ニシタコトハ許サレナイ、君ハ怒ッテイイ、ケド、君ガ自我ヲ捨テル必要ハドコニモナイ──私ハ君ニ自分ヲ大切ニシテホシイダケダヨ』
サトリはココロヤサしいヤツだった。サトリはウゴけるようになるまでソバにいてくれた。ハナしアイテになってくれた。ずっとヒトリぼっちだったから、それがとてもシアワせだった。
『サトリ、サトリ』
『ナンダイ? 犬神』
『オマエ、ソバ、イテクレタ。オレ、イッショウ、オマエ、ソバ、イタイ』
『犬神……』
コトワられてもついてイくつもりだった。
『……イイノカイ?』
ウレしそうなメをミせる、サトリについてイきたかった。ウナズいてアトをオいかける。そのアイテがサトリでシアワせだった。




