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百鬼戦乱舞 ―語草―  作者: 朝日菜
2014年
80/201

6月27日  犬神

 スミカがアらされた。〝クロい〟イッタンモメンがオいかけてくる。


 ニげろ、ニげろ、ニげろ、ニげろ。ニげられない。


 イッタンモメンにツカまった。コロされる。そんなのはイヤだ。どうしてこんなメにアわないといけない、オマエはダレだ、コロしてやる。

 テイコウできなかった。カラダをササされてナニかをヌかれた。チカラがでない。


「ご無事ですか! 乙梅おとめ様!」


「何故ついて来たのです。危険ですから下がりなさいと言ったでしょう」


「何を仰っているのです! 貴方は綿之瀬わたのせ家の現頭首なのですよ?! 半妖はんようの力を持っていることは重々承知の上ですが、危険な行動は謹んでください!」


「言っている意味がよくわかりませんね。半妖の力を持っているからこそ、人より死なない体を持っているからこそ、私は現頭首であり最前線で戦うのですよ」


 ヒトになった〝クロい〟イッタンモメンが、サっていく。マて。まだオわってない。せめてカタをクいちぎって──いや、できない。カラダが、ウゴかない。


 シねシねシねシねシねシねシねシね!!!!


 ウラむ、ユルさない、ヒトよ、ホロびろ。ウゴかないカラダがヘンケイしていく。ジメンにのたうちマワって痛いみにタエえて、ニクいアイテをオいかけてコロそうとする。


『ソレ以上ハ、モドれなくなるよ』


 オダやかなコエがそのコウドウをトめた。コエだけでカラダがトまったのはフシギなカンカクで、フりカエってミたアイテにオドロく。


 ──サトリだ。


 サトリは、そこにタっているだけだった。テをダすことは、しなかった。


『イマ……』


『気ヅイタカイ? 自分ガ今、何者ニナロウトシテイタノカヲ』


『…………』


『大丈夫。モウナラナイヨ』


『ホントニ』


『本当ダ』


『オマエ、ナゼ、トメタ』


『アノ人間ガ君ニシタコトハ許サレナイ、君ハ怒ッテイイ、ケド、君ガ自我ヲ捨テル必要ハドコニモナイ──私ハ君ニ自分ヲ大切ニシテホシイダケダヨ』


 サトリはココロヤサしいヤツだった。サトリはウゴけるようになるまでソバにいてくれた。ハナしアイテになってくれた。ずっとヒトリぼっちだったから、それがとてもシアワせだった。


『サトリ、サトリ』


『ナンダイ? 犬神イヌガミ


『オマエ、ソバ、イテクレタ。オレ、イッショウ、オマエ、ソバ、イタイ』


『犬神……』


 コトワられてもついてイくつもりだった。



『……イイノカイ?』



 ウレしそうなメをミせる、サトリについてイきたかった。ウナズいてアトをオいかける。そのアイテがサトリでシアワせだった。

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