表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
百鬼戦乱舞 ―語草―  作者: 朝日菜
2007年
49/201

4月22日  綿之瀬乙梅

 来日した二人を駅前で出迎え、綿之瀬わたのせ家が所有する養護施設へと連れていく。

 車から下りたアラン・カートライトは、生後一年のステラ・カートライトを抱いて綿之瀬家の現頭首である私についてきた。


「例のものは持ってきましたね?」


「はい」


 勉強してきたのだろう。流暢な日本語で返事をし、アランは私の弟でこの施設の施設長を任された五道ごどうに出逢う。


「初めまして、アラン。私が五道だ」


「初めまして、ゴドウ。彼女がステラです」


 アランはステラの顔を五道に見せる。ステラの髪色はアランに似ていたが、ステラはアランの娘ではなくアランの妹の〝クローン人間〟だった。


 私はアランからステラを受け取り、彼女を預かってくれる陰陽師おんみょうじへと連絡を取るように傍にいた親族へと合図を出す。

 私の仕事はもうほとんど終わったと言っても過言ではなかった。現頭首としてこのやり取りを見ることが私の仕事であり、その間ステラを預かることも私の仕事だった。


「ゴドウ。これがダンカン家が開発したクローン人間の作成方法です」


「あぁ。ありがとう」


 ダンカン家とは言うけれど、これを開発したのは私の叔父とその妻だと聞く。要は身内だ。カートライト家はダンカン家に居候しているだけで身内とは言えないけれど、クローン人間を作成することに協力したという点では共犯者かもしれない。


「確かに受け取ったよ。我々が新しいクローン人間を生み出すまで少し待たせることになるけれど、その間よろしく頼む」


「はい。よろしくお願いします」


 事情を考慮してここで暮らすことになった彼は柔和に微笑み、私へと視線を移す。そして、私の腕の中にいるステラへと手を伸ばした。


「貴方!」


「落ち着きなさい」


 警戒心の高い親族を窘め、綺麗な紺青色を見開くアランに「すみませんね」とだけ謝罪をする。


「私は《十八名家じゅうはちめいか》の現頭首。一族中の人間が私のことを守るのです」


「なるほど。すみません、知らなくて」


「いいえ、知らなくて当然です。むしろ言ってやってください、過保護ですよと」


「かほごですよ? すみません、意味がわかりません」


 あまりにも流暢だったから失念していた。彼は日本人でもなければ日本語を知り尽くしているわけでもない。


「おほほっ。そんなに謝らくても良くのですよ」


「なるほど。はい、わかりました」


乙梅おとめ様が……笑った……?」


「明日は槍が降るかもしれないな」


 私たちの周りにいる親族は、皆そう言って笑っていた。釣られてアランも笑っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ