7月5日 ママ
ニンゲンのようなニオいがする。なのにクサくない。フカイでも、ない。
ミにイくと、ニンゲンのアカんボウがウルサくナいていた。そいつをダいていたオンナが、ワタシにキづいてワタシのことをミオろした。
「……黙りなさい、亜紅里」
アカんボウはフカイではなかったが、オンナはフカイだ。ヘンなニオいがする。ニンゲンでもヨウカイでもないニオいも──そのミクダしたようなカオも。ゼンブ。
「……五月蝿いね」
タちドまってオヤコをナガめていると、オンナがムスメを──アグリをジメンにオいた。そのままフりカエりもせずにサっていった。
「あぁぁぁああああ!」
オきザりにされたアグリがオオきなコエでナく。カワイソウだ。あのオンナはナゼこんなモリのナカにムスメをスてたのだ。ここは、ニンゲンがクらせるようなトコロではないのに。
『ダイジョウブカ』
コエをかける。アグリにはワタシのコエがキこえてるのだろうか。
「あぁぁぁ! あぁぁあああぁあっ!」
『オチツケ。ナキヤメ』
あのオンナのようにアグリのことをダきアげることがどうしてもできない。
ワタシにはアグリをダくようなテがないのだ。
『アグリ』
「あ……」
すると、アグリがキュウにナきヤんだ。あのオンナがワタシをミて、ワタシのメのマエでアグリをスてて、ナいていたアグリにはワタシのコエがキこえていた。
『アグリ、ダイジョウブカ』
カワイソウなアグリのナミダをナめる。アグリはまったくイヤがらなかった。それがとてもフシギだった。
ニンゲンからキミワルがられるワタシのことをオオきなメでじっとミアげて、チイさなテをワタシのカラダへとヒッシにノばしていた。
「あ〜っ! あぁ〜!」
あのオンナではなくワタシをモトめているようだった。そんなアグリにコタえたいとオモう。
「まぁ〜!」
アグリのフクをクワえるタメに、カオをチカづける。あのオンナがアグリをスてたなら、ワタシがアグリをヒロってやると──そうオモったから。
「ま、ま〜!」
そのトキ、アグリにヨばれたキがした。クワえずにカオをアグリからハナすと、アグリがカわらずテをノばしたまま「まぁまぁ!」とイった。
『ママ……?』
「まんまっ!」
ワラっている。さっきまでナいていたくせに。ニンゲンはなんてオカしなイきモノなのだろう。
『ワカッタ。ママダ、ワタシハオマエノ〝ママ〟ダ』
するとアグリが「きゃっきゃ」とワラう。ホントウにオカしなコだ。
けれどワタシは、ケッしてアグリをテバナさない。




