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百鬼戦乱舞 ―語草―  作者: 朝日菜
2005年
39/201

4月9日   芽童神亜子

 陽陰おういん学園中等部に入学して、久しぶりに顔を見た青葉あおばくんと小町こまちちゃんとひそかちゃん。

 小学校が被っていたのは青葉くんだけで、他の二人は《十八名家じゅうはちめいか》の集まりで顔を合わせただけ。


 そんな何も知らない内の一人、小町ちゃんと同じクラスになった。


「小町ちゃん、これからよろしくなのでーすよぅ」


 一人で自席に座っていた小町ちゃんに声をかける。私たちに近づいてくる子たちはほとんどいなくて、いつも一人ぼっちだったから彼女と同じクラスになれて良かったと思った。


「誰?」


「えぇっ?! 酷いでーすよぅ、私は亜子あこ! 芽童神かいどうしん家の亜子でーすよぅ!」


「あぁ、貴方が。よろしく、さようなら」


「素っ気ない! もっとお話しましょーよぅ!」


「どうして? 私は貴方に興味がないの」


「うぅ……さすが綿之瀬わたのせ家の人でーすねぇ……」


「貴方はさすが芽童神家の人ね」


「えぇ? なんででーすかぁ?」


 研究者の一族である綿之瀬家の小町が興味のないものに無関心なのはそうだろうと思うけど、資産家の一族である私にはそういうのがないはずなのに。


「芽童神家の人たちって、みんな頭悪そうだもの」


「なっ?!」


「貴方も頭悪そうな顔してる」


「失礼でーすよぅ!」


 ぽかぽかと小町ちゃんの背中を叩く。はっきりと言うのも綿之瀬家の人らしいけど。


「うちは《十八名家》の中で一番お金持ちなんでーすよぅ?! 頭が良くないとお金持ちにはなれないんでーすよぅ?!」


「そんなわけ……あぁ、でも、そうかもしれないわね」


「でしょう?! 頭が良いんでーすよぅ!」


「これといった仕事をせずにお金を増やしているんだもの。不思議よね」


「褒めてるのか貶してるのかどっちでーすかぁ!」


「ねぇ、今度のテスト勝負しない?」


「ほぇ?」


「どっちが頭良いのかね」


 初めて微笑んだ姿を見せてくれた小町ちゃんは、本当に楽しそうだった。私は小町ちゃんを見つめ、「了解でーすよぅ」と答える。


「私、本当に頭良いんでーすよぅ?」


「あら。私もよ」


「テストでずっと一番だったんですしねぇ!」


「あら? 私もずっと一番だったのよ?」


 違う小学校だったから、知らなかった事実がどんどんどんどん溢れてくる。


「ふふっ。楽しみでーすねぇ」


「こてんぱんにしてあげるわ」


 中学に入学してすぐに出逢った小町ちゃんは、友になろうとして声をかけたのにいつの間にかライバルになった。一学期の中間試験は二人とも一位で引き分けて、そこからすぐに仲良くなった。


 私たちは、その日からずっと、友達だった。

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