1月1日 本庄琉帆
「やだやだやだやだつまらない! なんでパパとママは行っちゃうの?! やだぁあ〜!」
「琉帆、お願いだから静かにして。お母さんたちは仕事なのよ。これから色んな人たちに挨拶しなきゃいけないの」
「後で遊んであげるから、今はここにいなさい。終わったらすぐに迎えに行くから、友達と仲良くしてるんだよ?」
「や〜だ〜! 友達なんていないもん! やだ! やだやだやだやだ!」
何度もやだって言ったのに、パパとママは僕を置いて遠いところに行ってしまった。
ずっとずっと一緒にいたのに、急にその手を離されると不安になって仕方なくて、涙が出てきて止まらない。
「パパ〜! ママ〜!」
「だいじょうぶ?」
振り返ると、同い年くらいの男の子が僕を見ていた。びっくりするくらい綺麗な紫苑色の瞳に僕の泣き顔が映っていて、驚く。その子は泣いていないのに自分だけ泣いていることが急に恥ずかしいことのように思えてきて、涙が全然出なくなった。
「ねぇ、僕といっしょにあそんで!」
「ぇ、あそぶ?」
「うん! お兄ちゃんたちあそんでくれないからもう知らない! きみとあそぶ! きみの名前は?!」
「……りゅうほ」
「りゅうほ? 変な名前! 僕はことら!」
「そっちだって変な名前じゃん」
「え〜、りゅうほの方が変だよ」
「変じゃない! ことらが変!」
ことらも僕も名前が変だって言い合って、だけどいつの間にか二人で鬼ごっこをして遊んでいて、気づいたらパパとママが僕を見ていた。
「パパ! ママ!」
「ただいま、琉帆。琴良くんと仲良くしてたの?」
「うん! ことらね、僕よりも足が早いの! けどね、先回りして捕まえた!」
「あははっ、凄いじゃない。遊んでもらって良かったわねぇ」
「子供ってすごいなぁ。少し目を離しただけなのに全然違う子のようになってるよ」
「末森さん、琉帆が息子さんにお世話になったみたいで……。ありがとうございます」
「いえいえこちらこそ! 楽しかったみたいですよ、琉帆くんのことずっと話してるんですもの」
「新年会って子供を退屈にさせてしまいますけど、同年代のお友達ができるいい機会でもあるんですね。再来年小学生になった時は、また仲良くしてくれると幸いです」
「こちらこそですよ。琴良と同い年の陰陽師ってあまりいないんですよねぇ。同じ男の子を持つ親同士、私たち共々よろしくお願いいたします」
「もちろんですよ!」
僕のママとことらのママが手を繋ぐ。ママの腕の中にいた僕とことらも、手を伸ばして「またあそぼうね」と約束し合った。




