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百鬼戦乱舞 ―語草―  作者: 朝日菜
2021年
169/201

11月2日  ポチ子

 ダレかにヨばれているようなキがする。

 だからわたしはここにいるようなキがする。


『ドウシタ』


 シセンをアげると、キュウビのヨウコがわたしのことをミオろしていた。


『カイヌシハ?』


 カいヌシ? そうイわれてもわからない。わたしにカいヌシはいるのかしら。……いや、いたようなキがするけれどオモいダせない。


『〝オサキギツネ〟ハソウイウ〝ヨウカイ〟ダロウ』


 そうだったかしら。


『キュ……』


 どうしてオモいダせないのかしら。


『…………』


 コマっていたら、ヨウコがわたしをハナでツツいた。


『ノレ。オモイダセルマデ、ワタシガオマエノソバニイテヤル』


 ヨウコはわたしよりもオオきくてナガイきのヨウカイだったけれど、そのワりにはとてもヤサしいヨウカイだった。わたしはヨウコのカラダのウエにノって、ヨウコがイくバショへとイッショにイく。

 よくわからなかったけれど、ヨウコにはナニかモクテキがあるようで──オウインチョウをカコむケッカイのソトをずっとぐるぐるとアルいていた。


『キュ?』


 どうしてそんなことをするの? フシギにオモったからヨウコにタズねる。


『アノナカ二、ワタシノ〝ムスメ〟ガイルンダ』


 ムスメ? それは──コドモってこと? ケッカイはわたしたちをナカにイれないようにしているから、ムスメがケッカイのソトにデてきてくれないとヨウコはムスメとアうことができない。

 ヨウコは、ムスメにイッシュウカンもアえていないらしい。ムスメをウバわれたからトりモドしたいらしい。


 わたしも、あのマチにヨウジがあるようなキがする。


 なんだったかしら。わたしはあのマチでナニをしなければならないのかしら。


『イマ、オンミョウジガケッカイヲ、ヤブロウトシテクレテイル』


『キュ?』


『ワタシハ、アノケッカイガヤブラレタラ──アグリニアイニイクンダ』


『キュッ!』


 そうカタったヨウコのネガいがカナったらいいとココロからオモった。そうイったら、ヨウコもわたしがキオクをオモいダすことをイノってくれた。


 わたしたちはシュルイはチガうけれどキツネのヨウカイのナカマだ。タニンだけどタニンだとはオモえない。デアえたことはグウゼンだけどグウゼンだとはオモいたくない。

 わたしはヨウコとのデアいをタイセツにしたいから、おタガいのモクテキがタッセイしたアトもずっとソバにいたいとオモった。


『アァ。イヨウ』


『キュキュッ!』


 オモいがツウじアうととてもウレしい。これからも、そんなウレしいがあるといいのに。

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