3月2日 小白鳥星乃
「なぁ真! 俺たちチーム作ろうぜ!」
そう言ったのは、千貴くんだった。
「えっ、ち、チーム?」
「そうだよ! だって力を得たんだぞ?! じゃあ俺たちチームになれるじゃん! チームじゃん!」
私と真は人工半妖だけど、千貴くんたちはそうではない。でも、千貴くんたちは乾おねーちゃんの力で私たちと同じように妖怪と戦えるようになったから、嬉しそうにそう言い出していた。
「《紅炎組》だろ〜、《風神組》だろ〜、《カラス隊》だろ〜? 何がいいかな〜」
「《グレン隊》を忘れてるぞ」
色んなチームの名前を出す千貴くんに、乾おねーちゃんがびしっと突っ込む。けれど、それは多分千貴くんたちには言ってはいけないチーム名だった。
「…………悪かったな」
乾おねーちゃんは悪くない。それと、施設を一度壊したことがある《グレン隊》の人たちも悪くないと思っていた。
「やっぱり《カラス隊》みたいな名前がいいかな? 組だとなんか違うよね?」
「隊ってかっこいいからそっちがいい!」
「そーだよ組って幼稚園みたいだよなー!」
「隊かぁ」
「鴉貴だからカラスってこと?」
「多分そうだと思う」
「ねぇ真! 真は何がいい?」
「だっ、だからどうしてみんな僕に話を振るの〜?」
みんなに求められた真が困ったような表情を見せる。けれど、いつだって頼りになるのが私たちの真だった。
「え、えっと……じゃあ……」
何がいいかなぁ。そう考えていたら真と目が合った。
「……星乃はどう思う?」
私は、みんなのリーダーは真だって思っている。真はみんなの先頭を走っていると思っている。けれど、時々振り返って同じ人工半妖の私のことを見てくれるのだ。
「──《コネコ隊》はどうかな?」
それが嬉しい。真の力になりたいと思う。私は真が困っていたから、ぱっと思いついた名前を告げた。
「《コネコ隊》……」
「真は猫鷺家の人だし、私たちはまだ子供だから《コネコ隊》。ダメかな?」
呟いた真に確認を取った。リーダーは真だから、私の意見は小さな意見として受け止めて真自身の答えを出してほしい。
「……うん、いいと思う」
そう思っていたら、真が嬉しそうに微笑んだ。
「よっしゃあー!」
嬉しそうに笑う千貴くんは真とは違う形で私たちを引っ張ってくれる。私もみんなを引っ張れるような人間になりたい。
「《コネコ隊》な! 俺たちが《コネコ隊》な! ここが、俺たち人工半妖の居場所で──俺たちは家族だからな!」
このチームを守れるくらい強い人間になりたかった。