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百鬼戦乱舞 ―語草―  作者: 朝日菜
2018年
145/201

4月1日   師星翔星

 待ちに待った今日。半月前に高校を卒業した翔星とあは、《カラス隊》に入隊する。

 入校式に出ていた隊長に挨拶をし、隊長と共に《カラス隊》の本部がある陽陰おういん警察署A棟七階に向かって、胸を張る。


師星もろほし翔星です! 年齢は十八、陽陰学園出身です!」


 元気よく先輩たちに挨拶した。こういうのは最初が肝心。翔星は可愛い可愛い後輩として先輩たちから可愛がられて、先輩たちよりもたくさん妖怪を倒して、隊長に褒められるんだ。


「よろしくぅ、師星」


 手を振ってくれたのは末森すえもり副長。その隣には本庄ほんじょう副長がいて、翔星は二人を抱き締めたい気持ちをぐっと堪えた。


「よろしくお願いします!」


 末森副長も本庄副長も翔星の命を救ってくれた恩人だから、大好きだ。隊長も、水無瀬みなせさんも、文梨ふみなしさんも、葉柴はしばさんも、長谷部はしばさんも、神馬くんも、霜里しもさとさんも、芥川あくたがわさんも、翔星の恩人。


「……あれ」


 その中に一人、知らない男がいた。翔星の方をまったく見ず、みんなからも離れている男は成人しているようには見えない。


「あぁ、彼は南雲朔那なぐもさくなです。十七歳なので、師星の方が年上ですね」


「は?!」


 自分でも驚くくらいの大声が出た。でも、本当にそれ以外の言葉が出てこなかった。だって翔星は、去年《カラス隊》の人たちに救われてから入隊を希望してて。まだ学生だから駄目って断られたのに、どうして南雲朔那は十七歳で入隊を認められたんだろう。《十八名家じゅうはちめいか》でもないのに。


「隊長! どういうことですか!」


 《十八名家》の隊長には逆らえない。逆らってはいけないってわかってるけど、既に去年無礼を働いていたからそう言えた。


「南雲くんは中卒なので」


「え、そういうこと……?」


 中卒という存在がこの世にいるのか。隊長が翔星のことをおちょくっているとは思えないし、南雲朔那と呼ばれた男は否定しない。じゃあ、本当に?


「南雲くんは師星くんを助けた一週間後くらいに入隊した子なんす! 南雲くんの方が先輩っすけど、年上として一緒に南雲くんのサポートを……」


「うるさいうるさいうるさーい! 朔那! 翔星は絶対認めないから! あんた追い出して翔星が最年少兼新人の座を奪ってやる!」


「どうして?! 師星くん、南雲くんは性格アレっすけど悪い子じゃないんで仲良く……」


「うるさいってば! 年齢で弾かれたと思ってたのに中卒がいるって知った時の気持ち芥川さんにはわかんないでしょ?! 黙っててよ!」


 完全に八つ当たりだ。けど、すっごく悔しかったのは真実だった。

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