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百鬼戦乱舞 ―語草―  作者: 朝日菜
2016年
115/201

4月22日  サトリ

 血ヲ抜カレタソノ時カラ、見エテイタ未来ガ大キク変ワッタ。血ヲ抜カレタソノ時カラ、大切ナ人間ガ初メテ出来タ。

 ソノ子ハマダ小サナ子供ダッタ。見守ロウ。ソウ思ッテイタガ、ソノ子ガ大キクナッタ時、ソノ子カラ見ラレテイルコトニ気ヅキ──マタ大キク、未来が変ワル。


 未来ハ、ソノ子ダッタ。


 ソノ子ノ力ガ私ノコトヲ呼ンデイル。ソノ子ノ親トモ言ウベキ私ノ力を呼ンデイル。自分ノ力ヲ強クスル為ニ私ノスベテヲ呼ンデイル。



『来テ、ココヘ。来テ、ココヘ』



 ソノ子ヲ呼ンダ。未来ヲ呼ンダ。今ノママ大キクナッタラ、未来ノ大キサニ耐エラレナクテソノ子ガ潰レテシマウカラ。ソノ子ヲ守ル為ニ、私モ呼ンダ。


『走ッテ。モウ少シ。走ッテ、ココマデ』


 ソノ子ガココニ来ルト決メテクレタソノ時、スゴク嬉シカッタカラ。


『ヨク来タネ』


 倒レテシマッタソノ子ニ声ヲカケル。ソノ子ハ怯エタ表情デ私ヲ見テイタ。


「…………」


 私ヲ殺ソウトシテイル。当前ダロウ。私ハ妖怪デソノ子ハ妖怪デハナイ。デモ、半分妖怪ダ。


「わたしを、よんだ、のは……」


 チャント会話ガデキテイル。


『大丈夫カイ? イヌイ


 ソノ事実ガ嬉シカッタ。


「……サト、リ」


『初メマシテ』


 思ワズ微笑ム。コンナ感情ニナレタノハ久シブリデ、コンナ感情ニサセテクレタ乾ガヤハリ大切デ。


「わたしをよん、だ、のは……あんた……?」


『私ハ乾ニ呼バレタヨウナ気ガシタンダケドネ』


「よんでねぇよばか……つーか、〝乾〟ってよぶな」


『何故?』


「もう、すてたんだ。その、〝なまえ〟は……」


『アリアハ知ッテイルノカイ? コノ事ヲ』


「なまえを、すてたところで、わたしたちの……〝きずな〟は、こわれねぇから……」


『デモ、名前ガナイト困ルヨネ』


 ソンナ乾ニ名前ヲ与エタカッタ。


「わたしは……こまらない」


 諦メテ目ヲ閉ザス乾ニ未来ヲ見テホシカッタ。



『──〝無名ムメイ〟』



 ココハゼロ地点。


「……っ」


 ココハ始マリノ場所。


「……む、めい?」


 何モカモヲ捨テテココマデ来テクレタ彼女ニ与エタイ名前ハ、コレシカナイ。名前ニ縛ラレテ苦シンデイル彼女ニ与エル名前ハ、コレシカナイ。


『君ノ名前。〝無名〟ッテ呼ンデイイカナ?』


「……かってに、すれば?」


 乾ガ──イヤ、無名ガ喜ンデイルノガヨクワカル。


『決マリダネ。オイデ、中ニ入ロウ』


 ソンナ無名トコレカラ共ニ暮ラセルコト。コレカラ未来ヲ描ケルコト。コレカラ、夢ガ叶ウコト。


 ソノスベテガトテツモナク愛オシクテ、微笑マズニハイラレナカッタ。

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