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レインクラウド  作者: オメガβ
3/4

3話 寮と迷子と風霧愛里咲

「うわっ!玄関豪華だな!」

「エレベーター広~い!」

 寮は円形に建てられていて、廊下をぐるっと一周できる。真ん中にはエレベーターと非常用階段がある。俺たちの部屋は、4階の411号室だったな。

「着いた~。日向くん鍵開けて~」

「了解!よし、じゃあ扉開けるよ!」

 やば!ほぼ高級ホテルじゃないか?

「綺麗な部屋!最高だな!日向、ありさ」

「ここで毎日暮らすのか、こりゃもう、元の家には戻れませんな!」

「じゃあ、私は一番奥のベットにするね~」

「じゃあ悠斗は真ん中な」

「何二人してもう布団に潜り込んでるんだよ!まぁいっか、俺も潜るー!」

 とりあえず荷物をどうにかするか、と思ったその時、

 ピーンポーン

「花澤悠斗さんはいらっしゃいますか。」

俺かよ、てかインターホンあったのかよ。

「はい、花澤ですが、なんですか。」

「適性テストに不備があったそうなので至急職員室まで来いと小田先生から伝言でございます」

警備員さんが直々にお知らせに来るなんてそこは結構アナログだな。

「あっ、わざわざありがとうございます。すぐ向かいます。」

「はい、では失礼いたします。」

「日向、ありさ、ちょっと職員室に言ってくる、テストに不備があったらしい。」

「しっかりしろよ悠斗、あ、そうだ。ついでに何か購買で買ってきてよ、パンがいいな。惣菜パンで頼む」

「私もおねが~い。日向くんと待ってるね~」

「あー、わかったわかった、遅くなっても知らんぞー。」

「「大丈夫!」」

「あーそー。じゃ行ってくるわ。」

「「いってらっしゃい」

 全くあいつらは人使いが荒い。

「失礼します…」


――411号室にて――

「お~い日向く~ん!寝てる~?日向く~ん!窓からの景色絶景だよ~!」

「んはあぁ、軽く寝てたー。どれ、おぉー、ん、やっぱりでかい塀に囲まれてるな~2階か3階まであるんじゃない」

「ん~そうかも~。あっ!あれ見て!湖があるよ!」

 あれ、今俺って、女の子と個室に二人っきり?ちょっと緊張してきたな、あはは。

「日向くん?」

 あらためてよく見るとかわいいなー。ポニテ最高だな。

「日向くん大丈夫?顔赤いよ?具合悪い?」

 いかん、思わず見とれてしまっていた!

「大丈夫大丈夫!バリバリ元気よ!」

「ならよかった~」

 そう言えば、ありさちゃんと悠斗ってどうやって知り合ったんだろ。幼馴染みって言ってたし、悠斗が人見知りとかする前だろうから相当むかしからの仲なんだろうな。聞いてみるか悠斗もいないし良い機会だ。

「そう言えばさ、ありさちゃんはどうやって悠斗と知り合ったの?」

「んーっとね~、幼稚園の時に私が迷子になってるのを助けてくれたの~。それから一緒に遊ぶようになって、ずっとふたりで遊んでた~。お泊り会とかもやってたな~一緒にお風呂も入ったし~。でも中学は私が引っ越したから離れ離れになっちゃった。私ゆうくんしか友達いなくって、中学校でも話す人はいたけどそこまで仲良くなった人はいなかったの~。」

「そうだったんだ…」

「でもね、高校でまた会えてうれしかった!また独りぼっちか~って思ってたから~。そして日向くんとも友達になれたし、今が一番楽しいかも!ありがとね!あっ、私、一人でぶつぶつ言っちゃってた~。ごめ~ん。」

「全然!話してくれてありがとう!ありさちゃんは…」

「ん~?」

ガチャ

「やっぱりなんでもない!悠斗帰って来たよ。お昼にしよ」

「わかった~お腹すいた~」

 危ない、悠斗が大好きなんやねとか言いそうだった、余計なことをいうのは俺の悪い癖だ。


――同時刻の職員室にて――

「花澤、自分の名前くらい書け。」

 ちゃんと塗りつぶしは確認したから何の不備があるんだと思ったら名前書いてなかったかー

「すいません、完全に忘れてました。」

「次から注意しろよー」

「はい、気を付けます。」

 ふぅ、購買によってから帰らなきゃな。

「失礼しました。」

えっと、購買は…この廊下をまっすぐだったかな。

トントントン…

あ、前から女子が歩いてきた。かわいい子だ。 めっちゃかわいい。ショートボブで背が小さい。A組にこんな人がいたらぜったい気づくだろうからB組かC組かな。

トントントン…

また前から女子だ。ん?さっきの子?

トントントン…

またまた前から女子、同じ子だ。これは迷子だな。どんだけ高速で同じ場所で迷ってんだよ!

トントン

これは足音ではなく誰かが後ろから俺の肩をたたく音だ。

「うわぁ!」

 それは道に迷ってるかわいい女の子だった。

「はぁ、あの、もう三回もすれ違ってますよ、迷子なんですか。あなた迷子なんですよね。」

 は?いやいや、迷子はそっちじゃ?

「だからよかったらあの、私と一緒に購買に行きませんか。」

 え、意味わかんない。

「あの、えっと、どういう意味、ですか?」

「だから私と購買に行ってほしいんです。道に迷ってるんですよね?だったら一緒に購買に…」

 あーわかった、この人、不器用だな。ここは話に乗ろう。

「そっか、僕も、丁度購買に行こう、と思ってたとことろ、だから一緒に、行きましょう」

 といったそのときその子の顔色が変わった。

「では、行きましょうか。どっちに行けばいいですか。」

「ここをまっすぐです。」

 面白い子だな、名前ぐらい聞いとこうかな。

「あの、あなたの名前なんですか?」

「私は、岬亜耶です。」

「あ、えっと、僕は花澤悠斗です。A組です。」

「知ってます。」

 ん?知られてた。

「私はB組です。同じクラスではないですけど、その、仲良くしてあげてもいいです。」

 不器用だなー。そろそろつくな。

「じゃあ、仲良くしてください。」

「え、わわわ、コホン、じゃあ、よろしくお願い致します。」

どうようしすぎだろ!かわいいか!

「あ、つきましたよ。」

「ここまでどうもありがとうございました。ではまたどこかで」

「あー岬さーん、探してたよーこっちこっちー」

ペコリと頭を下げると友達のもとに走っていった。

俺もパンを買って帰るか。

って、焼きそばパンしかない!!まあいいか。

「すいません、焼きそばパン5つ」


ガチャ、

「おーい、焼きそばパンしかなかったよ。」

「おっ、いいじゃん焼きそばパン!」

「あ、ゆうくん、飲み物がないよ~1階に自動販売機あったから買ってきて~」

 俺はパシリですか。

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