嬉しさ
「何事もなく、入学式が終わってほしいですねぇ」
一語一句美しく、口に出している弟子の文章の言葉を聞いている最中に、放った誰かの存在。
「キャスラー・・・、俺の自慢の弟子が話している。話しかけないでいただきたいな。それに、入学式の最中だぞ、不気味なことをいうな」
「理事長とお呼びなさい。長い付き合いなので見逃しますが・・・」
そう言いため息をついた高貴な存在、
ラン・キャスラー。
この学園の最高権力者だ。
見た目は小学生高学年ぐらいの顔つき。
多分、こちら側の人間ではないだろう。
その見た目で、この学園の指導者でもある。
判断力、発言力、頭脳といったものは一般人とは、比べ物にならない。
「・・・・嬉しいですか?」
「はぁ?」
「あの子を自分の弟子として迎えることができ、今、代表としてあの場所に立っているあの子を見て、嬉しいですか?」
弟子のことについての内容だった。
「・・・・あぁ、嬉しいですね」
「そうですか・・・それは、良かった」
優しく口調でそう言い、微笑んだキャスラー。
「ですが、君とあの子はあくまでも師弟ですよ。なので・・・・」
「キャーーーーー!?」
「なんだ?」
断末魔に似た叫び声が、入学式会場に響いた。