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黒の師弟  作者: こまこまこめこめ
1/4

始まりの物語

月が綺麗な夜だった。

その月と同等に綺麗なのはお前だった。

「銀の君」。

銀の髪、瞳、白い肌、何もかも美しくまるで....

神のような者だった。

触れれば、罰が与えられそうだ。

それぐらい、美しかった。

あぁ、愛しい。

禁忌に等しい存在なんだ。

触れてはならぬ。

関係を持てば、きっと、手を離せなく。

それでも....手を掴んでしまった、

俺。

「俺の弟子にならないか?」

それが禁忌の存在との始まりの物語だった。




「はぁ・・・・」

「決まったことだ、諦めるんだな」

季節は春。

満開の桜の道での、二人の存在の会話。

片方は全てが銀色のような存在で、新品の学生服、胸には十字架をイメージした紋章がある。

もう片方も、銀の君と同じ紋章がある。

銀の君と同じぐらいに美しい顔立ちであり、誰が見ても美人美男と思うだろう。

しかし、服装は全身黒色の軍服のようなのを着飾っている存在。

「半神が今年の生徒代表をするなんて、誰も思わないでしょうね。ハハ・・・・」

銀の君は半神だ。

半神は今の世界どこにでもいる人種。

片方は人間の血、もう片方は人間ではない存在の血。

その存在から、一部での人間からは差別対象と扱われる。

銀の君の発言から、片方の存在は顔をしかめた。

「半神が生徒代表をしてはいけない決まりなんてねぇ。別に誰がやろうと関係ねぇだろうが」

黒の存在はそう一言伝え、銀の君の頭を優しく、壊れないように撫でた。

「師匠・・・。そうですよね、関係ありませんよね!僕、生徒代表頑張ります!」

その発言から師匠と呼ばれた存在は安心したようだった。

「じゃあ僕はリハーサルがあるので、いってきます!」

警察官のように敬礼をしたあと、入学式会場に走っていった。

「いってらっしゃい。気をつけろよ」

「はーい!」

師匠は走っていく銀の君の背中を見えなくなるまで、見ていた。

(いってらっしゃい、か・・・・・あいつは処刑対象なのにな。まるで、家族みたいだ)

そう心に言い聞かせ、師匠と呼ばれた存在は考えていた。

この世界は、何千年も前から続いている戦争がある。

それは「聖戦」。

人間対人間ではない存在のこの世界での、生存権争いの戦争。

師匠と呼ばれた存在、黒苦労 聖も、その聖戦の参加者であった。

その聖戦での命を落とした存在は何千、何百もいるだろう。

きっと人間ではない存在に、命乞いをした人間だっている。

しかし聖には、死ぬのことに恐怖など感じることはなかった。

人間は生まれてから、死ぬために日々を過ごしているだけである。

事故にあって死んでしまったのなら、死ぬ運命が早くきてしまったにすぎない。

聖にとって「生きる」とは、それぐらいにすぎなかった。

聖は果てしなく続く満開の桜の道を見て、ふと、考えた。

(今日も俺は神に生かされているんだ)


この無意味な戦争に勝つために。







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