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俺の親友の幼馴染のメンタル強度は木綿豆腐

古賀視点、後日談です。

どーも、小鳥遊の友達の古賀です。

最近の俺は新体制の生徒会に入って毎日忙しい日々を送っている。


そもそも、何でこうなったかっつーと越前美亜っていう女子生徒が起こした騒ぎが原因だ。

細かいとこは端折るが、小鳥遊の幼馴染の片桐伊月ちゃんがなぜか越前に目を付けられ、嘘八百な噂を立てられた。それにブチ切れた小鳥遊が噂を流したヤツらや当時の生徒会役員、越前を潰した。

噂を面白半分で流したヤツらは小鳥遊に話をされて(脅されて)一時期不登校になった。

今は大分回復したらしいが、一体何を言ったんだか……。

小鳥遊に尋ねると「教えてやろうか」とイイ笑顔で返された。

勿論謹んでお断りした。

生徒会の連中や越前については、ご存知の通りなので省略。


いやぁ、ホント雑用させられまくったわ …… 。まさかあんなに仕事を押しつけられるとは……。

そして新生徒会いけにえにされるとは思わなかった。

抗議? 勿論したよ。



「小鳥遊! 何で俺が新生徒会に入ることになってんだ!?」


「お前なら出来ると信じてるからだ。応援してる」


「え、そうかな……って、単に押しつけただけだろ!?

騙されねぇからな!」


「チッ、気づいてやがったか……」


「本音ーーーー!!!」



俺は小鳥遊に果敢に抗議した。

誰があんな面倒そうな仕事できるか。先生方も小鳥遊にやってほしいみたいだし!



「とにかく、俺は新生徒会には入らなーーーーー」



ガッ!


という効果音がついたんじゃねぇかって思う勢いで両肩を掴まれた。

じわじわと力が込められている。

あれ? もしかしなくても俺コレかなりヤバいんじゃね?



「応・援・し・て・る」



区切りながらイイ笑顔で言われた。

区切りの度に力が強くなってるんですけど!?

俺の肩ミシミシいってるんですけどーーー!!?



「が、頑張らせて頂きます……」



え? 抗議?

いやだな、俺がそんなことするわけ無いじゃん。



◆◇◆◇◆



そんなこんながあったんだが、教師陣はまだ諦めてないらしい。

今日も今日とて、俺は小鳥遊を呼び出しにいってる。校内放送かけても無視するからな、アイツ。

いや、俺が行っても応じないんだけどさ。



「小鳥遊! 先生が呼んでるぞ」


「知らん」


「いや行けよ!」


「伊月構うので忙しい」


「これで断るの何回目だ! いい加減一回行けって!

往復して疲れるのは俺なんだぞ!?」


「いつもご苦労」


「おう! ……じゃねぇよ!」



こんな調子である。

くっそ、いちゃいちゃしやがって!

俺だって彼女欲しい!



「だがな小鳥遊!

この幾度とない呼び出しのお知らせの末、俺は悟った!

……片桐さん、頼む!小鳥遊を説得してくれ!」



ふふふ、コレはいくら小鳥遊であろうと断れまい!

……あ、片桐さんビクついちゃった。



「オイコラ伊月が怯えてんだろうが」


「あ、俺ヤバい」



ヤバいヤバいヤバい。

必死に助けを求める。片桐さん ……は今は無理そうだし、頼む助けて田宮さん!


祈りが通じたのか、田宮さんが助け船を出してくれた。

小鳥遊も行く気になったっぽいし、コレで一安心……、て、あれ?



「行くぞ」


「え、ちょ、頭離していただけませんか!?」


「伊月を怯えさせたからなぁ」


「それはお前が、いたたたた!」


「何度も邪魔しやがって……」


「不可抗力ーーー!!!」




ぎゃあああああああーーーーーー…………………。





◆◇◆◇◆



職員室に行って、オブラートに包んで二度と勧誘すんじゃねぇぞゴルァ的なことを言った小鳥遊は、そのまま俺を校舎裏に連れてきた。



「待て落ち着け。話し合えば分かるって!」


「伊月のことで妥協できるか」


「相変わらずブレない!」



そこはちょっとくらいブレてくれ!



「さて、折るか」


「泣かせてない!泣かせてないから!」


「それもそうだな。伊月も成長した」



よし、回避!



「軽く折る」



と思った俺が馬鹿でしたー!



「今の流れ違ったよね!?」


「いいから」


「ちょ、おま、待っ」




ぎゃあああああああーーーーーー…………………。




◆◇◆◇◆



その後、俺は見事会長に当選し、新生徒会を引っ張っていくことになる。

選挙の後、グッタリと廊下を歩いてると片桐さんに呼び止められた。



「あ、古賀君」


「片桐さん? どうしたの?」



小鳥遊と一緒にいないなんて珍しい。



「当選おめでとう」


「いや、俺の力じゃ…… 」



多分、小鳥遊が裏から操ってたんだろう。



「ううん、初ちゃんは何もしてないよ。初ちゃん、『俺よりも古賀の方が会長に向いてる。それは他のヤツらも分かってる』って言ってたもの」



「……へ?」


「初ちゃん、古賀君のことホントに信頼してるよ。親友だ、って。だから、これからも初ちゃんをよろしくね?」



あ、コレ初ちゃんには内緒ね?


そう悪戯っぽく付け足した片桐さん。

いや、え? 小鳥遊って俺のこと体のいい雑用係って思ってんじゃねぇの?



「伊月、何して……って古賀か。

当選おめでとう」



片桐さんを追ってきたのか、小鳥遊がやってきた。



「おう! 俺これから会議あるから行くわ! じゃあな親友!

片桐さんもまた!」



小鳥遊は面食らった顔をしてたが気にしない。片桐さんはにこっと手を振ってくれた。




小鳥遊のあんな顔初めて見たわ~。

いやぁ、一矢報いた気分。

それにしてもやっぱ片桐さん可愛 ……うっ、物凄い悪寒が ……。



◆◇◆◇◆


「伊月、アイツに何言ったんだ?」


妙にハイテンションになった古賀を見送り、初が言う。


「ふふ、初ちゃんは素直じゃないんだよって」


「伊月……」



はぁ、と溜め息をつく。

全く、この可愛い幼馴染にはかなわないらしい。


得意気になっている伊月とうなだれている初。

いつもと違う光景が繰り広げられているのを、周囲は遠巻きに見ていた。






【END】

「うん?」

「どうしたの初ちゃん?」

「いや……、何かイラッときた。何だろうな」

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