S04
拙い文章ですが、読んでいただければ幸いです。更新は非常に遅い。途中で止めるかもしれない、というか絶対に止める。続かない(確信)。
燃えている。
世界は『赤』に染まり、全てを喰らい尽くしていく。
「熱い・・・・・・」
ポツリと呟いた少女は、目の前で燃える『世界』を見つめる。
少女にとってその場所は、自身を作り上げた『世界』であった。
それが、燃えている。
「・・・・・・わ、たしは。どう、すれば・・・・・・?」
少女の濡れた瞳は、皮肉にも、眼前の『赤』と同じ輝きを纏っていた。
* * *
──何もかもがどうでもいい。
無機質な部屋で一人、寝具に横たわり目を伏せている者がいる。
「何度、こんな夢を見ようと、私の心は動かない。知っているくせに・・・・・・」
ぽつりと呟かれた言葉は静寂に消える。
──そろそろ身支度をしなくては。
ゆっくりと身体を起こし、一日を始める。
鏡の前に立ち、また呟く。
「人間だった頃の記憶なんて、もう、どこにもない。『夢は幻覚、彼の者が作った理想』、私達はそれをただひたすらに、過ごしていくだけなのだから」
──より人間らしく。しかし人の身に成し得ない事を成す。
スゥ、と息を吸い、まるで言い聞かせるように言う。
「私は、アンドロイドだ」
こうして、人ならざる《物》の一日が始まる。
* * *
木製の扉を開けると、背の高い男がいた。
「お前か。毎朝来なくていいと言っているだろう」
「つれないな、S04。俺は好きでやってんだから別にいいだろ」
飄々とした顔で男が答える。
──いつ見ても不愉快な奴だ。
眉を顰めながらS04が思う。
せっかく気を引き締めて一日を始めたのに、これでは台無しの気分だ。
「まあ、好きにしろ。ただし、邪魔はするなよ」
「邪魔って・・・・・・。どうせ一日中一緒の行動予定だろうが。そんなに邪険にしないでくれよ」
「S01、勘違いするなよ。私はお前を好ましく思っていない。いくら同じクラスであるからといって、馴れ馴れしくするな」
S01を置いて、颯爽と歩き出すS04。
廊下に規律正しい足音が響く。
その少し後に、遅めの足音が続く。
「そういうとこは嫌いだよ、S04。まぁいいや、今日は別クラスの奴らと戦闘訓練だ。Aから順にCまで、それぞれ一時間。訓練は、S一体につき五人同時に相手をする。一分内に終わらせろ」
「十秒で充分だ」
──今日は早めに終わりそうだ。
これからの日程を思考し、やるべき任務が少ないことを確認する。
この訓練で、S04の運命が回り出すことを、本人はまだ知らない。