第一話
東京都南東京市沖ノ鳥区北岩1丁目。
ここには沖ノ鳥区役所がある。
沖ノ鳥区役所はけっこう忙しい。
「区長~北岩中学校が荒れているのですが…。」
「なになに…犯罪者の血が多いと…。なるほど。
では悪玉である親を強制収容所送りにしよう。」
環境が人に与える影響は果てしなく大きいからだ。
沖ノ鳥港第二埠頭に大型船が接岸した。
北岩署の刑事が親をひっとらえて大型船に
乗せた。
この大型船は警視庁の保有する船で、法では裁けない
者も含めた悪人を強制収容所送りにするための
船である。
これらの悪人は、東京・足立区にある東東京強制収容所
に連行されていくのである。
新日本帝国はすばらしい国である。
法で裁けない悪人に対しても超法規的に制裁が
下される。
強制収容所はその手段なのである。
新日本帝国軍は、沖ノ鳥島周辺にも配備されていて、
中国共産党やテロリストなどの野蛮な者どもに
にらみを利かせている。
「区長、海軍基地の補修に予算が必要ですが。」
「分かった。」
市電がここ沖ノ鳥島を横断する中央通りを通る。
この島の人口は56万人である。
サンゴ礁に柱を立てて築かれた人工地盤の上に
築かれた部分がとても大きい。
工場も立ち並んでいる。
どこか懐かしさを感じさせるこの島の景色。
市電があるだけで、昔の東京のようだ。






