4章
次の朝、いつもより早く起きた。この身体になったことはもう今になっては夢だとは思えず、ただただ現実と向き合うことしかできなくなっていた。ある胸とないチンコはどうしても納得いかなかったが……。
ベッドから下りて、初めて感じたのは髪の毛の異常。男の時比較的髪の毛が短かった介にとって、珍しい感覚でもなかった。髪の毛が色々な方向へ曲がっているような感じ――こういうのを寝癖というのか、と改めて考えた介は自分の髪の盛り上がりを手で触った。(女子って髪長くてもこんなに爆発するんだな……。いつも直して来てるのかな? やっぱり、頭乾かしてから寝ればよかった……)
頭を乾かさずに寝たことを後悔した。
部屋を出るとちょうど千加も部屋から出てくるのが見えた。小3にして一人で寝れるってすさまじい勇気だ、と思えば初めて感じた介は千加に近寄った。
「千加、寝癖立ってない……」
いきなり眠気がふっとび、気が晴れたかのように千加は介の髪の毛に飛び掛かった。
「あ~、お兄ちゃん、寝癖だ~。昨日頭乾かさずに寝たからだよ~」
千加に注意され、さっきの後悔を元にして素直に反省した。
「こんなになるとは思わなかった」
そう呟く間にも千加はずっと介の髪の毛を触り、笑っている。
(……ったく、常に女子に囲まれてる俺が何で今まで気づかなかったんだろ。まぁ、髪の毛なんかそう見ないし)
1階に下りると、一難去ってまた一難。姉は千加と同じように髪の毛をいじり、弄ぶ。そうやられている間にも、介は昨日姉が言ったことを姉自身が忘れていること希った。が、それはやはり叶わぬことだった。
「あ、介。昨日言ったことやらないならご飯なしだからね」
昨日何で断り切らなかったのだろう。今日2度目の後悔が介に襲いかかった。断らないと必ず行動に出てしまういつもの姉をいつものように見ているのに何故断らなかったのだろう、とまたとして悔やんだ。
言っても無駄なことを言ったような気がした。
「ダメ。頑張って今日1日はやって。じゃなかったら、昨日言った通り、次の時間のご飯はなし」
また悪魔の囁きが介に耳に届いていた。
「しないったら、しない!」と絶対否定する。
「じゃあ、これはなし」
姉は苦笑漏らして、机に置いてあったパンを手で隠すフリをした。
「……いいし、別に朝ごはんぐらい」
「じゃあ、お姉ちゃんと千加だけで食べちゃうから」
介は言おうとすると、姉は重大なことを補足した。
「あ、言っておくけど、朝ご飯これだけであと家に食べ物一切ないから。朝ご飯食べたら、昼の分も買い物行ってくるわ」
その言葉に介はもうたまらなくなった。
「もう、姉ちゃん、それ取り消して!」
そこまで言う介に姉はついに天使の近い言葉を口にする条件を見つけてしまったらしい。
「いいわよ」
ここまでは良かった。「取り消し?」と介が訊ねる。その後に口にした言葉はまたとして悪魔の囁きだったのだ。
「ご飯食べていいけど、今日だけは女言葉で喋って」
ま、まさか天使と悪魔が手を組んだ! 一瞬、笑みをこぼれた顔にはまた苦い表情が戻ってしまった。生きるために秩序を取るか、男としての秩序を取るか、厳しい選択だった。(そう厳しくはないかもしれないが……)答えは単純且つ意外過ぎた。
「きょ、今日ぐらい、1日なら……」
今日1日、介は男としての秩序を捨てる決心した。どうせやらなかったら、また面倒なことになるのも分かっていたし、1日だけという軽傷を思わせる言葉につられてしまったことが介を思いあがらせたのだ。
「『あたし』って言ってみて」
「うっ……」絶句した。
そして、静かに一言を口にした。
「あ、……あたし……」
一刹那。勇気を振り絞った一言に辺りは静まり返り、姉と千加はパンを持ったまま硬直した。介は自分の頬が熱くなるのを感じた。2人の様子からして、自分の言い方が悪かったのかが不安になって、更に緊張感を高めた。
「か、可愛い……」
姉と千加は同時に言葉を発した。
「え……」
介も言葉が出なかった。いつの間にか、足は内股に開いてペタンと床に座っていた。気づいた頃には介は朝ご飯を差し出され、床で食べ始めていた。
「頑張ってそれで話してて」姉が言う。
「しょうがないから話しててあげるわ」
もうこれで言うしかないと思って、言った。そしたら、千加の話し始める。
「あ~あ、お兄ちゃん、本当にお姉ちゃんになっちゃった~」
「もう、勝手にして」
ついに、「介」から「美咲」へと変貌を遂げてしまった。
「千加~。またやって」
介の言ったことを瞬時に理解できたらしく千加は喜んで飛びついてきた。「お兄ちゃん、ポニーテール気に入っちゃった?」と聞いてきた千加に「まぁ」と軽く答えつつ、素直に髪を出す。
痛みにも慣れた気がした。今までは心が男である介に髪型はどうでもよいものだった。しかし昨日からそれが変わりつつある。ここでポニーテールがいいと心中で訴えかける自分がいた。
この日、美咲は1人で街の中を歩いてみよう、と思った。だけでやはり千加がついてくることになる。こいつはどこまで兄が好きなんだ。まぁ、千加以上の妹はいないと思う。春の空気を醸し出す街道をただひたすら見物人として歩き続ける2人。
度々変わる街の光景を楽しみながらも、途中の河原で休みながらも、とりあえず、町の中は見まわった。自分が通うことになる学校を一目見て素通りした直後だっただろうか。千加がこんな話を持ち出してきた。
「そういえば、お兄ちゃんどうして昨日部屋から出てきたの?」
本当に今頃と言えるような話を持ち出してきた。何故、昨日訊かなかったのだろう、と首をかしげたくなる気を抑え、千加に語り始める。
「だ、だから、ずっと入ってもいられないからって言っただろ」
つい言ってしまったことに気が付いたのは、千加に言われた時だ。
「お兄ちゃん、それで喋っちゃダメ」
コロコロと話が変わるこの展開が何よりも苛立つ。どうして、うちの姉と妹はこんなことばかりこだわるのだろうか。家族でも唯一見覚えのない父の血を引き継いでしまったB型の精神があるのだからそれは仕方のないことだった。
「それで、何? そう言ってるじゃない」
「ほんとにぃ?」
悠久の時を得て久しぶりに見た千加のいやらしい双眸がこちらを覗き込む。
千加はとにかく疑り深い。この歳の奴のどこにこんな知能があるのか、これからどんどんすごい者が現れるであろう……。畢竟、この頃の若者は凄絶だ。と、自分もまだその1人であることを理解していながらも、何気なく深慮するうちに本当は自分が噓をついていたことを白状しようという気になった。
「ぅ……噓」
「えっ、そうだったの~」
何だか千加が憎く感じる。さっきのは何だ。冗談か。それなら最初から訊くな。何故だが、怒りたくなる感情も妹の可愛い顔貌を見ると落ち着いた。ともかく、真意を打ち明けることにした。
「あたしさぁ~、部屋でずっとベッドに寝転がって鏡とか自分の手とか見てたの。そしたらなんか……おかしくなっちゃって」
千加が軽く笑った。「ふぅ~ん」と。
途中に入れることのできなかった言葉はやはり恥ずかしすぎて男として最低なことだったのでやはりいうことを断念した。というよりかは、最初から言う気はなかった。千加はそれを理解したのだろうか。さっきのあの怪訝な行動を取るような知恵があってもさすがに感付くことはないと確信はしていたが。
さらに町の遠くへと足を伸ばし、歩き進めると、どこか商店街を思い出させるような店立ち並ぶ街道に差しかかった。気も好奇もなかったが、ぶらりと街道へ足を踏み入れた。
商店街とまでは言い難い都会らしさを流出させる街道をふらつくうちに何故かしら自分の思わぬところから好奇心が湧いてくるのを感じた。さっきから千加もつまらなさそうにしていたし、どこかの店に入ってやろう、と美咲は内心で呟いた。
結局のところ、入りたいと思える店はあまり見つからなかった。「千加、どこか入らない?」と訊いても、それほど感興の湧いた返事は返ってこなかった。千加もこんな調子だし、もう帰ろうかな。思った直後、目の前に突如として現れた店が美咲の動機を駆った。千加も少しだけ目の輝きが戻り、迷離しかけていた魂魄が肉体に戻ってきたようだ。そんなこんなで“とある店”に立ち寄った。
「お兄ちゃん、ここ入ろう」
「俺は別にどっちでもいいけど」
どうやら、この店は写真館のようだった。
中に入ってみると、もう博物館並みに自分を中心点として周囲に様々な景色を撮った写真が飾られていた。ぶらりと入ってきてしまったが大丈夫だろうか、と気掛かりにしているのは既に遅く、すんなりと入れたということは金と取らないということだ、と心の靄を晴らした。
それにしても、こんな写真館を無料開放していいのだろうか、と疑問が浮上してきた。映画観るのと同じように料金支払ってもらわないと、営んでいる人も大変だろう。客へのサービス精神が強くて感心できる面があると言えばあるのは相違ない。
そんなことを頭の片隅でぼんやりと考えていると――。
「あ、美咲」
突然名前を呼ばれ、ドキッとして、後ろを振り向く。そこにいたのは紛れもなく、昨日会ったばかりの穂乃花だった。いきなりの上から目線を感じ、またしてもドキッとする美咲。
「あ、え~っと」
呼び方に迷う。
「呼び捨てでいいよ~」
フォローされた。
「穂乃花? 何でここに?」
「私の家だもんね~」
「えっ、そうなの」
「うん。あっ、横の子誰?」
「妹」
できるだけばれないように短文で済ませていく。
「名前は?」
「千加」
「千加ね」
穂乃花がそう言った直後、千加が服を引っ張る感覚がして、ふと、千加を方を向く。
「お兄ちゃん、いつの間に友達作ったの?」
千加が最初に発した言葉にビクッときて、無意識に千加を口止めしようとした。やはり、やってしまったか、と心の中で後悔した。現実、今取った行動が逆に不信感をもたらしてしまったように思えてきて自分に対する後悔が一層高まった。
「お兄ちゃんって?」
穂乃花が敏感に反応する。
「あ、え~……」
美咲が口を噤んでしまった今、千加が話し出した。
「家、男の子いないから美咲お姉ちゃんが男らしくしてるだけだよ」
なっ、何ちゅう善いフォローする妹なんだ! 美咲は心底で感動していた。歳の割には家族で一番頭がいいと言われている千加もこんなことまで言ってくれるとなれば、将来絶対すごい者となる、と美咲は予感を心中で唸らせていた。
「えっ、美咲、そんなに男らしいの?」
「そ、そうなの。普段は普通だけど、偶にね」
「さっきも外で『俺』って言ってたもんね」
ん? 今のはどういうことだ。外で言ってた? まさか、聞かれていたというのか。それほど聞こえるような声で言ったつもりはなかったのだが。だとしてもそれを可能にするためには、最低でも外にいることが第一だったし、店内にいてそんな会話が耳に取れたとも思えなかった。我知らずに自分の聴力がどれほどのものなのか、実践してみたくなってしまうほど不思議だった。
心中の渦巻きがやまないうちに穂乃花の後方から何やらスーツを着た中年太りした男が現れるのを目に捉えた。
やたらとぽっちゃりしている男の顎が揺れた。
「穂乃花、お友達かね?」
「うん。転校生」
「そうか。もう仲良くなったのか」
仲良くなったとは言い難い。心の中で呟く。と、このおじさんが何者なのかが気になった。穂乃花と仲良くしているということはお父さんだとしかありえない。90%は保証ができる。
「あの……」
「こんな娘だが、よろしく頼むよ」
「もう、お父さん、そんなに畏まらなくても。美咲は結構話しやすいから」
「は、はい」
なんとなく笑ってみたが、これがいいリアクションなのか解らなかった。
穂乃花の父が行ってしまうのを見届けると、さっそく気になっていたことを訊く。それほど気にするほどのことでもないように思えたが、友達を増やすのに会話は多い方がよかったから悔いってもいいから話しかけた。
「穂乃花。あの……さっき何で聞こえてたの?」
「え、あぁ、あの、自慢になっちゃうけど、あたし生まれつき五感がすっごくよくて、それでさっきの会話も聞けちゃってたの」
まさか、五感がそんなに発達している人間がいるとは。驚愕しつつも、道理が分かって正直安堵に包まれる気分だ。
「五感がそんなにいい人もいるんだ~」
「まぁ、あたしは特別かもしれないけど。だから、観察は人並み外れてできる。こっち来て」
なんか機嫌のいい穂乃花に連れられて向かった先は写真館の奥。他とも何の変哲も見られないこの部屋がいったい、何なのか穂乃花に聞かない限り分からないことだった。
「これ、誰が撮った写真だと思う?」
「これ?」
穂乃花に指差された気に留まる鶯の写真を美咲は凝視した。誰のなんて言われると、何となく本人の名前を上げたくなってしまうものだ。
「穂乃花?」
「そう、私が撮った写真。ここにある写真ぜーんぶが私の。私、写真撮ることも趣味なの」
「すげえ、よくこんなの撮れるね」
危うく男口調に戻るとこだった、セーフ。
「お父さんが写真撮影家だから。私もそれを見て習ったの」
「へぇ~。お父さんにね」
「美咲の家族は?」
「えっ、お、あぁ、あたしはお父さんは1回も見たことないし、お母さんはこの前亡くなっちゃって。親戚もいないし。あ、あとお姉ちゃんが」
「家族3人なの⁉」
「うん」
「姉1人って……お姉さん何歳?」
「去年大学卒業して今は23歳」
「家事とかできるの?」
「まあまあ。一応料理も作れるし」
「お金は? 仕事は?」
「普通の会社員らしいけど、何でそんな職業で引っ越しが決まるのは訳解んない」
穂乃花が笑った。鮮やかな笑顔だ。魅了されそう。思った直後、気が付けば思わぬぐらい話してしまっていたことに不安を持ち始めていた。まったく意識なく話していまっていたためどんな口調だったのかも思い出せなかった。とりあえずはここで打ち切ろうと話を切った。
「あっ、あたしも帰らなくちゃ」
わざとらしく店内の時計を見て言う。
「あ、そう。ごめん」
「千加、行くよ」
ずっと写真を眺めていた無邪気な千加を呼び戻した。
「穂乃花じゃあね」
早々と話を進め、帰ろうとした美咲に穂乃花が手を振って送ってくれた。
朝外出して久しぶりに帰ってきたような気持ちだった。美咲が疲れ切って、昨日と同じく酒に酔ったまま覚醒していない親父のようなだらしない気分で、今度は本来背をつけるソファーに腹をつけた恰好のまま、携帯ゲームに没頭していた。気晴らしにはもってこいだろう、こう言うものは。
そんなことをしている背後から千加が迫っていた。またしても何かを目論んでいるような微笑気味な顔だったが、美咲にそれが見えるはずもなく、千加の気配しか感じていなかった。
千加の魔の手はそのまま美咲の尻に向かう。何せ美咲の格好というのは尻を突き出したようなもう少しでスカートの隙間からパンツが見えてしまいそうな感じだ。千加の狙いはそれだった。そお~っと美咲のスカートを手に取った――と思ったら、ペラリとめくり上げた。
女子なら普通ここで「きゃっ」とかいうはずなのだが、内面は男の介は、
「千加、何。さっきからペラペラやって」と女口調遵守しながら言う。
「お兄ちゃん、そういう時は『きゃっ、えっち』って言わなきゃいけないんだよ」
ちょうど携帯ゲームを終えた美咲が千加の方を顧みた。
「別にいいの。第一、何でスカートめくられると恥ずかしいの?」
「お兄ちゃんだってパンツ見られるのは恥ずかしいでしょ?」
「まぁそうだけど、それほど」
思想していたようにならなかったのか、千加は不満足げな顔して介に命令した。
「お兄ちゃん立って」
言われたとおり、美咲はソファーから尻を持ち上げて立ち上がった。
「今度は何?」
と、訝しい表情を浮かべていると……。
千加が急に変貌を遂げたように、女らしくない活気あふれた行為――というか暴力を美咲に向かってやったのだ。千加の足は油断していた美咲の股間めがけて繰り出され、受ける側の美咲もそれを真面に食らってしまった。
今の介が女だったからよかったものの、男だったら金玉ぶっ潰れて一生後継者を創れなくなるところだった、と言えるほどの衝撃だった。千加も相手が女だということを慮って蹴ったのだろうが。
元ちんこが生えていた場所を押さえながらリビングの床に蹲っていた美咲は、
「千加。金玉潰れたらどうするんだよ!」
怒声と化した声は男口調とも化していた。
「お兄ちゃん女の子なんだからおちんちんはないでしょ」
そう言えば……と思い、男だった時に蹴られた時と今の股間に加わる衝撃程度を比較し、何となくだがいつものじんわりと腹部へと上がってくる感覚がないことを確認した。「あれ? あんまり痛くないけど」
面白がったように千加は笑っていた。
その後、美咲は携帯ゲームをやる気もなくし、おとなしくおしとやかにソファーに座っていた。するとまたしても突然千加が目の前に現れ、何かを企むような顔をして――「今度は何?」とも訊く前に――千加の魔の手が美咲の未熟な貧乳に伸ばされた。次の一瞬、美咲の目は大きく見開き、全身に鳥肌が立ったように啞然とした表情へ変わる。「ひゃっ!」と甲高く色気のありそうな声を出した後、千加の手に沿って、自分の胸へと目線を流した。 美咲の表情は一変し、眉を歪ませた。
「馬鹿ー!」
美咲の声が部屋中に響き渡ると同時にその掌が千加の頬に近づいていった。千加の頬にビンタが放たれた時に発した音が耳に入ると同時に姉は2人の方を振り向いた。姉には何が起きたの知る由もなく、とにかく飛ばさされて俯いている千加に近づいていった。
千加は立ち上がり、「お姉ちゃ~ん。お兄ちゃんがビンタしてきた~」と真っ赤にした頬を触りながら、姉にしがみついた。
「だ、だって、千加があたしの胸を」
しばらく美咲と千加を交互に見交わしていた姉は急に軽蔑的に厳つい表情を浮かべ、判決を言い渡した。
「美咲が悪い」
「な、何で⁉」
「あんた、心が男なのにそんなこと思うわけないでしょ」
「でも、身体が勝手に……」
「とにかく謝りなさい」
「でもさっき、千加もあたしの股間蹴ったし」
「そうなの?」
さっきの現場に姉はいなかった。
千加は知らんぷりしているが姉には通用せず、服した。
「んっ……ゴメン(なさい)」2人は同時に頭を下げ、謝罪した。
自分の意思でもないのに、胸を触られただけで妹を叩き謝らなければいけない自分が何とも無情に思えた。これは女の感情なのか? 自分の身体に不安を持ちながら、寝るまでそれを考え続けた末今日はいつもとは相違なる眠りに就けた。