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天国と地獄と一人の男(仮)  作者: 末広 ガリ
地獄編~調教~
19/20

18.おしまい

Side 龍哉





「ほい、飯出来たぞー。」


「お待たせしましたぁ。」


「おー…二人の作るご飯は、相変わらず美味しそうだねぇ。」





――地獄から戻って200年が経った…この前久しぶりに二人を連れてHELLに行ったら、リゼとルーシーがなぜか火花を散らしていた…なんてこともあったりしたが、相変わらず僕は平和な日々を送ることができている。





「リゼ様も挑戦してみたらいかがですか?」


「あー、ボクはパスだよ。昔やってみたことがあるんだけど、スッゴク不味いのができちゃってさ。

それに、二人にはとても敵わないし…食べる専門でいいや。」


「お料理楽しいのに…ね、龍哉さん?」


「まぁ楽しいな。普段はしないコト…例えば寿司を握るだとか、そういうのがたまにあると結構やる気出る。ただ、毎日はやりたくないな…飽きるし。」


「タツってば飽き性だからねー。ホント、よく鍛練が続くもんだと思うよ。」


「それはほら…何度も言うけど、もしもの時のための備えだからな。いくら現時点で最強だと言っても、誰かに抜かれたらマズいもん。

それに俺も男の子だし、強くなること自体に憧れがあるわけだから。」


「ま、結局今まで何にも起きなかったけどねー。」


「え、起きたじゃん。ほら、訓練教官のヤツだよ。あれだって“もしも、いきなり友人に鬼や悪魔を鍛えてくれと頼まれたら”って話になるでしょ。」


「うーん…そう言われてみれば、そうですね…。」





――儂が死んでから、今年で1945年じゃ。その間色々なことがあったのう。

地獄に行ったり、自分が神じゃったと聞かされたり、色んな奴と出会ったり…。





「うん。それに、この間適当に転移魔法陣踏んで遊んでたらさ、なんか森っぽいとこに出ちゃってさぁ、変なモンスターみたいなのが出てきたわけよ。もし鍛えてなかったら、俺あそこで死んでたからね。…いやまぁ正直この体じゃ死なないけど、そこから帰ってくるまでに何年かかったことか。モンスターに捕まったら、逃げられるくらいまでそこで強くならなきゃいけないわけだから。」


「何て言うか…それはさすがに、自業自得だよ…。」


「…確かにそうなんだけどね…。そもそも自分が強いこと前提でやった遊びだし。

…まぁ結局、備えあれば憂いなしってことだよ。」


「そうですねー。もしもなんて起きない、平和なのが一番です。」


「俺的には、お前らに危害が及ばないレベルのハプニングなら、たまには起きて欲しい気持ちもあるけどな。」


「…あ、そうだ!ならさ、旅行に行かない?」


「旅行?」


「そう!行先が決まってる転移魔法陣じゃなくて、転移魔法をランダムな場所に設定するの!

ね?ちょっとした冒険で面白そうじゃない?」


「ふむ…俺に提案したフリをして、リゼが行きたいだけのような気もするが、確かにそれはいいかもな。でも…お前ら仕事は?」


「……大丈夫♪」


「いや、何なのその間は…。ユニ、どうなの?」


「少し待ってください、アヌ様に確認してみます。」


「あぁ、頼む。」





――不安もありましたが、やはり死んで本当に良かったと思います。

みなさんと過ごす日々は楽しいですし、生前の私や、私の前世たちが憧れていたものがここにはありました。





「…それでね、地獄に色んな種類があるように、人間界も一つじゃないんだ。」


「並行世界ってヤツか?」


「うん、そんな感じ。だから今回は、人間界のどっかに行こう。天界じゃ冒険にならないし、地獄はどこも似たようなもんだしね。」


「んだな。」


「お二人とも、アヌ様からOKが出ましたよ。なんでも、お父さんの好きなだけ行ってきてください、とのことです。」


「パパってば、相変わらず龍哉にはとことん甘いよねー。」


「孝行息子だなぁ。後でお礼言っとかんと…。

あ、つーかさあユニ、もう一回お父さんって言ってみて。」


「えぇ?えと…お父さん?」


「うん、可愛いね。ごちそう様です。

……さて、いつ出発する?」


「あう、可愛い…。」


「んー三日後くらいでいいんじゃない?」


「了解。そんじゃアヌに礼言うついでに迎えに行くから、準備して待っとけ。」


「分かったー♪」





――…生キルという行為ハ、幸セを掴むための一ツの手段に過ぎないヨ。





「ほう…これはまた、見事なまでに知らんトコ来たな。」


「いいじゃんいいじゃん、楽しそうじゃーん♪」


「と、とりあえず…人を探さないと…。」







――もしも目に映っているこの世界がただの夢であろうとも、俺は俺が俺であるために、全力で今を守るだけだ。





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