13.前世
予約投稿テスト回。
本文よりも、前書き・後書きに誤字がある時に死にたくなります。
Side 龍哉
その日――リゼに頼んでおいた魔力感知の件で、彼女の父であるアヌ神に会う許しが出たので、俺は二人と共に会いに行ったんだ。
それがまさかあんなことになるなんて…。
Side out
Side アヌ
今日はリゼが客を連れてくると言っておったな。
どうやら人の子らしいが、やたらと強い力を持っているようで、魔力も持っているか私に見て欲しいということであった。
人…と聞くと、先の大戦を思い出すのう。
あの方は今どこにいらっしゃるのじゃろうか…。
…と、どうやら来たようじゃな。
なるほど、遠目に見ても力を感じるわい。
確かに人の身であれ程の力を持つ者など………ん…?
「パパ!例の人、連れてきたよー!」
「パパさん、こんにちわわ。」
「アヌ様、お久しぶりです。」
「……。」
「パパ…?」
「…?……!これアレじゃね!?俺が男だったから、パパショックみたいな。お前に娘はやらん的な。」
「えーパパキモーイ。ボクの入る前にお風呂に入らないでよねー。洗濯も別でー。…みたいな?」
「ちょ、ちょっとお二人ともそれくらいに…。
アヌ様が震えてらっしゃいますから…あ、涙が…。」
「え、マジで泣くの?それほどかよ…。
ごめんねパパさん、少なくとも今はそういう関係じゃないから、とりあえず落ち着こう。
一旦落ち着いて、用事を済ませ、俺達が帰って、それから泣こう。
大丈夫、君ならできるさ。」
「……さん。」
「へ?何さん?…許さん?おっさん?木下さん?それとも…。」
「……お父さん!」
「「「えっ。」」」
娘が連れてきたのは、とんでもないお方じゃった。
Side out
「…と言うわけで、あなたは私たちの父となったのです。」
「何が、『と言うわけで』だよ。まだ一行も説明聞いてないから。」
「パパ…龍哉の前で恥ずかしいからちゃんとしてよね…。」
「何かこう言ったら省けるかなって…済みません。
初めに言っておくと、その昔あなたは、その強さに比肩する者なしと言われたほどの神であったのです。
現在にいたるまで当時のあなたを超える者はおらず、全知全能に最も近かったと思います。」
「えっ…それほんとなの!?」
「……。」
「あぁ、これから話すことは全て真実だ。
……およそ五千年前に、天界で大戦が起きました。
その頃はほとんどの神々が排他的な思考であり、各派閥が火花を散らす中、遂に他の神を排除しようと強硬手段に出る者たちが現れたのです。
そして、争いはついに人間界を巻き込むまでに発展しました。
当時の龍哉様はどの陣営にも属さず傍観を貫いていましたが、人が巻き込まれ出したのと、いい加減煩わしくなったのとで、主に龍哉様の創り出した神々で構成された中立軍を率いて、戦へ乱入しました。
神としては過去最上位の強さを持っていた…と言っても過言ではなかった龍哉様たちは、諸勢力をしばき倒して瞬く間に終戦へと持ち込みました。
その後中立軍以外で戦争に参加した者達は、人間界を巻き込んだ罰として力を奪った上で人間界へ転生。龍哉様は、非力な者たちの気持ちを味わってみろと言っておりました。
そして中立軍は、まずボロボロになった天界の復興に力を注ぎました。先にある程度こちらを復興させた方が、結果的に人間界の再生も早く済むからです。
天界を元に戻した後、龍哉様は何人かの神を創り、人間界の復興のために各地に転生させました。
ちなみにその時送られた神が、後に人間界の諸々の神話の主神となったのです。
私のように大戦以前に龍哉様によって創り出されていた神も、何人かはそれに参加しました。」
「なるほどね、今残っている神は当時の龍哉に繋がっている神ばかり。
大戦後に人間との交流が増えたって話も、そういう事情があったわけ。」
「でも…どうして龍哉さんは人間になってしまったんでしょうか…。」
「実は、龍哉様も人間界復興のため自ら転生したのです。
しかし…ここで問題が起きました…。
大戦であなたに恨みを抱いていた者が中立軍に入り込んで影を潜めており、転生時にあなたの魂の情報を書き換えたのです。
具体的には、記憶をなくし幸運値を最低ランクまで下げられました。
我々としても身内だと思っていた者の中から裏切りが出るとは予想外で、咄嗟のことに対応できませんでした。」
申し訳なさそうに、そう語ったアヌ。
「運が悪い…と言うのは予想以上に人生に大きな影響を与えたことかと思います。
会う人会う人悉く悪人であったり、能力を伸ばす機会が訪れなかったり…。」
「あぁ、なんか身に覚えがあるわ。死んでからはそうでもないけどな。」
「えぇ…不運の影響で、幾度となく繰り返した人としての生では、悪いことばかりが降り注いできたのは想像に難くないです。
見たところ、魂自体もかなり傷ついてしまわれています。
私達もあなたを探すように色々と手は尽くしたのですが、“見つけてもらえない不運”の影響か、結局探し当てることはできませんでした。
不出来な息子たちで済みません…。」
「いや、リゼパパが気にすることじゃねぇよ。悪の芽に気付けなかった当時の俺が悪いんだ。
それより、その神はどうなったんだ?」
「もちろん、その事件を起こした神は、周りにいた他の神たちによって捕えられ、既に魂を洗い流して人間界に転生させております。」
「なんで!?
そんなに悪い奴なら、魂ごと消滅させるんじゃないの?」
「龍哉様はそういった方法での解決を嫌っておったのじゃ。
――彼の者にも事情がある。戦争を起こした神々にもそれぞれ理由がある――龍哉様はそう言って、戦を起こした者達を転生させた。
もちろん、己の欲望のためだけに動くような輩は別じゃがな。
裁く側に立った者は公平であらねばならん…私たちだってその神は憎かったが、そうした父の教えを守ろうと言うことになったのじゃ。」
「うむ、これはリゼパパの言う通りだと思うぞ。
いやあ、当時の俺がまともそうでよかったよ。」
「はい…強さはともかく、中身の方は今の龍哉さんとあまり変わらなそうですね。」
「ユニ、人間という枠で見れば、今の龍哉も十二分にぶっ飛んだ強さだよ…。」
「…以降の天界は平和そのものです。
何せ、主神たる我々のほとんどは、あなたからうまれた兄弟なのですから。」
「俺って子沢山だなぁ…。
まぁ何にせよ平和なら良かったよ。
あれ…もしかして嫁さんとかいなかったよねぇ…?」
「いませんでしたね。子供たちは皆、お父さんの創造の魔法で創られましたよ。」
「良かった…もしいたなら、悪いことしたなぁ…ってね。
でもその替わり、子供たちには悲しい思いをさせてしまったようだな。
本来は俺の与かり知らぬことなんだが…まぁ父親だった頃の俺に代わって謝るよ。済まなかった。」
「いいんですよ、お父さんを見つけられなかった私たちも私たちですから。
それに、こうしてまた会えたんですから、もう喜びでいっぱいですよ!」
「ハハハ!いい子に育ってくれて、お父さんは嬉しいぞ!」
…ヒートアップし始めた二人をよそに、ひそひそと話し始めるリゼとユニ。
「ちょっとユニ…パパ、龍哉に対する時だけキャラ変わりすぎじゃない?
どんだけお父さんっ子なのよ…。」
「と言うより、さっきからお父さんお父さん言ってますけど、厳密には龍哉さんの子供じゃありませんよね。
正確に言うと元お父さんのような気が…。」
「なんか龍哉もすっかりお父さんになりきってるし…こういう壊れ方を見ると、何か繋がりを感じるよ…。」
「あの…リゼ様もお二人と繋がっているんですよ。
しかも創造魔法だったので血の繋がりは無いにせよ、龍哉さんはリゼ様の元おじいさん、と言うことに…。」
「え、あ…却下!それ却下!
パパ!龍哉の事、お父さんって呼ぶのやめて!
じゃないとボクが龍哉の孫になっちゃうから!」
「まぁまぁ、いいじゃないかリゼ。リゼパパも長い間寂しかったんだぞー?
俺で良かったら…これからもお父さんと呼びなさい。」
「はい、お父さん!」
「ちょっ…やめてえええええ!」
……。
…。
「そう言えば、それだけ不運だった龍哉さんが、どうして今回の人生では天界に戻ることができたのでしょう。
わたしたちが見た限りでは、生前の龍哉さんも運のないままだった気がしますけど…。」
「うーん、それなんだがなぁ…長い時が経って、魂の情報が多少修復されたのかも知れんのう。
死んでエンマのいる冥界に行き、天界に近づいてからは回復がより急速になり…とな。
今まで戻れなかったのは、単純に死んでもすぐに人間界へ転生させられていたからとか。」
「なるほどな。何度も死んで、冥界にいる僅かな時間だけ使って修復していたから、こんなに時間がかかったわけか。
そう考えると、地獄に送ってくれたエンマには感謝だな。
と言うか、俺の“絶対に転生したくない”って思いは、もしかしたらそうした事情からきていたのかも知れないなぁ。
ここのところ悪いことが起きてない理由が、ようやく分かったよ。」
「ふーん…で、結局龍哉には魔力はあるの?
なんかもう聞くまでもないって気がするけど、一応ね…。」
「あぁ、それはもう物凄い量の魔力が眠っておるぞ。
神だった頃の記憶を戻せば、すぐにでも最高の魔法使いになれますが…どうされます?」
「記憶かー…いらないや。自分で開発していった方が面白いでしょ。
…つか、記憶戻せるのか!それなら、転生した後、俺に順番が回ってくるまでの人生の数々の記憶をクレヨン。」
「え…ちょっとタツ、そんなことして大丈夫なの?
全部が全部酷い記憶なのは間違いないんだよ!?」
「いいんだよ。今回の人生で、ようやく苦しみの連鎖から解放されたんだ。
苦しんだだけで終わった彼らの記憶と共に在りたい。共にこれからを楽しんでいきたい。
そういう自己満足的な何かさ。」
「しかし…前世の記憶を見る場合、エンマの水晶のようにただ映像が流れ込んでくるわけではなく、自身が前世の人物となって実際にその人生を体験する…という方法がとられているのです。
龍哉様の場合ですと、これに聊か問題があるように思えるのですが…。」
「ククク…いいじゃないそれ!
早速やろう…っと、その前にリゼとユニに、大事な話があったんだ。
精神がぶっ壊れるかも知れんから、言えるうちに言っておかんとな。」
「な…何?改まって…。(こ、これってもしかして…!)」ドキドキ
「(だ、大事な話…それって…!)何でしょう、龍哉さん。」ドキドキ
ゴクリ…と唾を飲み込む音が聞こえる。
「…改めて言うけど、俺はどちらかと言うとSだから!これからすることはマゾっぽいけど、そこんとこ誤解しないように!」
「「あぁ…そうですか…そうですよね…ハァ。」」
見事にハモり、ガクッと項垂れる二人であったとさ。
「さて…説明をしますと、実際に行動を決定するのは前世の人物です。
お父さんはその人生をなぞるだけに過ぎません。
全員分となると結構な時間になるでしょうが、こちらでは数秒しか過ぎませんので、安心してください。」
「りょーかい。それじゃあ始めてくれ。」
Side 龍哉
アヌが俺の頭に触れると、一瞬にして意識が遠のいていくのを感じた。
そして再び覚醒していき、やがて一人の赤子として自分が生まれたのが分かった。
それからは数々の人生を体験していき…
ある工場にて――
「オラッ、さっさと作業場まで運ばねぇか!」
「…彼が来てからは楽ですねぇ。仕事は早いし、給料は安くて済むしで…。」
ある農村にて――
「ったく余計なことしてくれやがって。おかげで二人も殺さなきゃいけなくなっちまった。」
「ふう…まぁこれで少しは懲りただろう。今後は大人しくしているはずだ。」
ある家屋にて――
「死ねッ、死ねッ!」
「もう死んでますって。ククク…原形を留めていないってのは、こういうことを言うんでしょうねェ。」
ある倉庫にて――
「…今日も犯しにきてやったぞ――って、とうとう反応なくなっちまったよ、このクソ女。」
「今回のは大分長いこと持ちましたね。抵抗するのを押さえつけるのが楽しいんですが…ま、こうなったらしばらく使ってまた交換すればいいでしょう。」
ある施設にて――
「グッ…グアアァァッ!」
「少し黙りたまえ…やれやれ、獣を合わせると煩くていかんな。」
「フフフ…次はどこを開いてみましょうかねぇ、先生?」
…彼らであり我らでもある者達は、大方の予想通りしっかりと虐げられてきたようだな。
こうして見ると、俺本人の苦しみなどちっぽけなもののようにも感じてしまうよ。
特に魂がほとんど修復されていない頃の人生は酷いものだ…。
まぁこれらの人生を体験してしまっているんだから、ある意味俺の歩んだ人生の一つということになるんだろうが。
それにしても、やはり人の闇というのは深いものだな…。
あ、アイツが戻って来やがったよ…いつも俺のこと蹴るから嫌なんだよなぁ…――
そうして生を繰り返しているうちに、やがて真っ暗な視界へと戻った。
そこで、瞼を閉じていることを思い出し、眩しさで眩暈がしないように俺はゆっくりとそれを開いた。
「ど、どうだった…?」
俺の意識が戻ったのを確認したリゼが問いかけてくる。
「あー…一言で言うなら、予想通りだな。」
「そっか…大丈夫?」
「ダメかも。死にたい。死ねない体だけど。
……なんて、嘘だよォ。」
結局、約四十回分の人生を覗いたが、今まで通ってきた全ての道は諸々の不幸で溢れていた。
神だった頃人の為に働いた者が、転生して人の悪意に殺され続ける…その滑稽さ、実に愉快。
どれもこれもクソ面白くもない人生だったが、それらの不幸が最早逆に面白い。
もう過ぎたことだから、当事者の一人としても悲しむか、楽しむかくらいしかできん。
それならば、楽しむ方が、俺らしい。
ま、いくらかの悲しみもあるがな。
そんなことをリゼに言うと、彼女は零すように「そっか…」とだけ呟いた。
「ククク…お前たちは悲しんでいるようだな。」
「当り前じゃない。
分かってはいたけど、やっぱり悲しいよ。」
「俺にとってはその悲しみすら面白い。
他人が自分の為に悲しんでいる――なんてのはありがたいことだが、どうも現実味がないしな。
今まで自分が他人の事で悲しむことはあっても、その逆はなかった。
故にこの状況がどこか夢のようにも感じるんだ。
それに、それを除いても現状を楽しいと感じてしまう自分がいるのも事実。
だがまぁ…ある意味では、この状況が幸せと言うものの一つの形なのだろうなぁ。」
「…龍哉さんってやっぱり、変わっていますね…。」
「だろうな。生きている頃から、心の歯車がいくつか飛んでいるような気がしていたよ。
…嫌いになったか?」
「それは絶対にない!
…ますます気に入っちゃったよ。」
「わわ、わたしもです!」
「それは良かった。そんなお前らも充分変わっているよ。
まぁ俺としても、仲が良いと感じている者に嫌われるのは悲しい。
…にしてもリゼ、そういう発言は父親の前でするものなのか?」
見ると、若干空気だったアヌがなんとも言えない表情を浮かべている。
「そう言えばアヌ的には、自分の父親のことを娘が気に入り、知らないうちに真名まで教えてたんだよなぁ。」
「あはは…でも創造で生まれたんだから血が繋がっているわけじゃないし、それに今の龍哉はボクより年下でしょ?」
「確かにそうだが、だからこそ余計に複雑な気持ちになってしまうんだろうなぁ…。」
俺、リゼ、ユニの三人が、微妙な目でアヌを見つめる。
「いや、まぁ、はは……何はともあれ、無事なようで安心しましたよ。
こうして見ているだけでも、あの頃のお父さんのように強く、優しい方なのが分かります。
私もそうなりたいと思って頑張ってはいるんですが、どうも…ね。」
誇らしげに神だった頃の俺のことを語っているが、そんなに凄いヤツだったのかなぁ…。
「まぁそれぞれ性格やらなんやらがあるんだから仕方ねぇな。
そんなところは同じでなくてもいい…ただ、自分の子供たちが誇りに思えるような父親であればいいだろ。
背中を追うんじゃなくて、追い越すつもりでやれよ。」
「…そうですね、精進します!」
「パパ、キャラ変わりすぎ…。」
「そ、そうですね…。
龍哉さんも何というか…文字通り親父臭いです。記憶はないハズなのに…。」
「そういえば、お父さんが行ったのとは別の地獄に、サタンという方がいるのですが、お父さんのかつてのご友人ですよ。」
「サタン…って、あのサタンか!神なのになんで悪魔が友達なんだ?」
「お父さんは割とそういうことに頓着しない方でしたので…。
それに、人間界で言われているほど仲は悪くないんですよ。
例えるなら犬と猫という種族の違いだけで、神と悪魔との間に何か特別な因縁があるわけでもないんです。」
「ほう…なら今度行ってみるかね。」
地獄ならちょうど修行にもなるしな!
「そうだ、お父さん…。」
「なんだ?」
「お帰りなさい!」
「あぁ…ただいま。」
何はともあれ…私の前世達よ、共にこれからを楽しもうぞ。
こんな設定最初はなかったんですが、いつの間にか出来ていました。
アヌさんもいきなり出てきたキャラクターなので
一応過去シーンについて補足しておくと、痛めつけられている時は龍哉も痛いです。
前世龍哉の中から、その人の人生を体験している感じです。
睡眠中とかは物凄く暇です。
男女両方あります。
合計で2500年くらい過ごしたので、ここでリゼの年齢を追い越しました。
まぁ年齢とか容姿とか色々発表してませんけどね。
リゼの一人称をボクにしたのは失敗ですね。すぐ忘れます。
ユニの一人称を平仮名にしたのも失敗ですね。すぐ見落とします。
…なんかぐだぐだですね。この回は後悔ばかりです。