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第三話 慈雨をもたらす神
時は移り、旱魃の年が訪れた。
空は雲ひとつなく、川は干上がり、苗は枯れ果てた。
村人は祈りの祭を開き、天に雨を乞うた。
禍つものは嘲笑した。
「雨など与えてたまるか。祈りをかき乱してくれよう」
彼は荒ぶる風を呼び、祭壇を打ち壊そうとした。
だが突如として黒雲が集まり、稲妻が走り、大粒の雨が村を潤した。
干上がった田は潤いを取り戻し、人々は歓喜の声をあげた。
「神よ! 我らの祈りに応えてくださった!」
「慈悲深き雨の神よ!」
村人は舞を舞い、歌を奉げた。
禍つものは頭を抱えた。
「な、なぜだ……我はただ祈りを乱そうとしただけ……」
だが人々の目には、彼は“慈雨をもたらす神”と映っていた。




