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天逆毎篇 五章 会ったことあるけど名前知らない人と街中で出会った時の反応って困るよね
僕が混乱していると、少年、いや彼は何かを、あの時の瓶を取り出して僕の爪に塗りながら言った。
「なあお前、この前も会わなかったか?」
その声を聞いたとき、僕の脳が疼いた。疼いたとか言っているが厨二病の再発ではない。本当に僕の脳細胞が蠢いたのだ。
まさかあの時の男の人って…この子なのか?そんなつぶやきを口の中で転がすとそれを敏感に聞き取った少年が「子って言うな子って!」と言った。
そんなことより!
「やっぱりあの時の男の人なんですか?」
「うん。やっぱり会ったことあるよね」
「あ、あの時はありがとうございました。」
「いいって。できることをしたまでです。」
僕がかっこいいなと思っていると、にやりを笑って、「一回言ってみたかったんだよなこれ」とつぶやいた。ぶん殴ってやろうか。