天逆毎篇 二章 藁にもすがる腹痛持ち
家にようやくたどり着いた僕は自室に戻り、瓶を開けてみようと思った。というのも正直体調の悪化で永遠にお花をむしるという状況は避けたかったからだ。
藁にも縋る、知らん人にも縋る思いだった。瓶を握って開けようと力を入れると、案外すぐにパカッと開いた。
中身は結構なんていうか蛍光色のオレンジジュース…みたいな色をした液体だ。これを爪につけるなんて明日も学校だし校則もあるしでちょっと遠慮したかったが、躊躇していたら、数多くのお花をむしりすぎて環境破壊は気持ちいいニキとか思われそうだし、何よりつらい。
腹をくくり、絵筆をよく洗って、つけてみることにした。
絵筆を爪に走らせてみると、意外とひんやりしていて気持ちよかった。急いで乾かしていると、おなかがお花摘みの時間だと伝えてきた。
葛藤があったからか気づくのに遅れ、結構というかかなりやばい状態だった。中学生にもなって、コレはいやだなぁ。
「嘘じゃねえかあのペテ…ん?」
さっきまでなんかもう地球が爆発するような気分だったのが、すっかり収まって小鳥が平和の旋律を奏でているように感じた。
これはもしやと思ってズボンの上から確認してみたが、無事なようだ。となると、ほんとにこれ―――オレンジ色の液体―――がどうにかしてくれたのだろうか?とにかく…助かったぁ。落ち着いたら地獄を見たというオチはありません。(=゜ω゜)ノ
というのが、僕の中学生の頃の話。そして僕が探しているのがその男の人、というわけだ。