天逆毎篇 一章 出会いを振り返る
僕の名前は伏見 咲哉!人探しをしている高校生さ!
僕は長年、ある男を探している。
彼に会ったのは、たしか「サンダーストーム!」とか「俺は神の寵愛を受けている」とか「実はある組織に追われている」だとかを恥ずかしげもなく言える年、つまりは中学二年生のころだったと思う。
その日はなぜかとても体調が悪く、なんか道に落ちているものでも食べたっけ?と考えながら道を進んでいた。
学校から家へ歩いていると、彼に会った。いや、会ったというのは少し違うかもしれない。
彼は近づいてくると同時に僕の肩をたたき、「おい少年、なんでそんな状態で歩いてんだ」と言った。
そう、言ってきたのだ。初対面の知らない人に。
その瞬間、僕の心臓は口から飛び出て、ゆうに光の速さを超えて重力に逆らいながら大気圏を突破し、無事太陽にぶつかり太陽の位置がずれて地球は氷河期に入り、人類は滅亡しましたとさ。咲哉先生の次回作にご期待ください。
〈了〉
いや、そうじゃなくて。この人、僕の体調が悪いのを一瞬で見抜いて声をかけてくるなんて。
普通声かけてこなくない?心配な人に声をかけてくれるなんて日本もまだまだ捨てたもんじゃないぜ。
「おいおまえ、これやるから、塗っとけ。」
そういって謎のオレンジ色の液体が入った瓶を渡してきた。
正直なことを言おう。シンプルに不審者だと思った。だから、僕は逃げた。
なんかほとんど記憶ないけどそのときにえいや!っていって殴った気がする。グーで。
あのよくわからない男の人が追ってくる前に来た方向を引き返して逃げた。その瓶を握りしめたまま。