2 地球を守るおてつだい
視線を落とすと、そこには見慣れた街がある。隕石を抑え続けてもう五年。隕石を止めること。それが今の僕の仕事。
「貴方は地球の代表に選ばれました。」
「隕石を止めてください。」
五年前。2072年。僕を女手一つで育ててくれた母が死んだ次の日、突然連れていかれた。
「どうして僕が?」
不思議に思い、そう尋ねる。
「抽選で選ばれました。」
黒いスーツを着た中年の男が、当たり前のようにそう言った。どうやらこの仕事は、体に機械を取り付ければ誰にでもできるらしい。どうせなら、「僕だけに漫画のような能力が芽生えた。」とかがよかった。でも、やるしかなかった。
これが、地球を守るお手伝いだ。
母が死んでから、生きる意味を見つけられなくなっていた。家族もいなければ、友達もいない。母は唯一僕のことを大切にしてくれた人だった。母が死に、僕の人生は真っ暗だった。
だからこの仕事は、僕にとって生きがいなんだ。僕がいなければ、みんな死ぬ。僕に全てがかかっている。
そんなことを考えながら、今日も隕石を止めている。
地球の人達は毎日楽しく過ごしているだろうか。僕のことなんかだれも知らないだろう。
でも、たった一人でもいい。もしも、僕のことを見てくれる人がいるなら、感謝してくれる人がいるなら、
そんなことを考えながら、今日も隕石を止めている。
どんな仕事も誰かの役に立っているのです。