〜*第7-2話*〜
なに…あの瞳。色が変わる事なんてありえるの?
この場を離れて、殿下に手紙の事を聞くべきなのだろうけど、あの異常な様子を放ってはおけない。
移動する彼女と距離を取り後を追う。
そして、フードで顔を隠した彼女が向かったのはバロンが居る庭園だった。
まさか、あの日ここに居たのも彼女だったのだろうか。
バロンは彼女がローラ嬢だと知っているの?沢山の疑問が頭に浮かぶ。
「…一体どういう事ですか。あの方がここにいらっしゃるだなんて、聞いていませんよ」
あの方って…きっと私の事よね。
「ふん、殿下にお前達の姿を見せ動揺を誘うつもりだったのよ。それに正直に言ったらお前は来ないかもしれないでしょう」
「…、逃げられない事は知っているだろう。白々しい」
顔はみえないが、その声はどこか苦々しい。
そんなバロンとは正反対に、その言葉にローラ嬢は愉快そうに笑い声を上げる。
様子を伺う限り、この2人は仲間という訳ではなさそうだ。
それに、なんだろうかこの違和感。いつもの穏やかな彼女の様子は全くない。
これが彼女の本性という事だろうか。まるで二重人格のような…。
「それに、もうすぐ件の作戦決行日よ。分かってるわね」
「ッッ、分かってる。本当にあの人は大丈夫なんだろうな」
「それはお前次第だと言ったでしょう。」
その言葉に心臓が嫌な音を立てる。
いつ、どこで、なにをするつもりなんだろうか。まだ全部を調べられていないというのに。
「そもそも…本当にうまくいくのか」
「ふふ、そうね。王太子とエリック・アルベルティ…いいえ、エリック・エクスタリア。あの2人の仲の悪さは理屈じゃないのよ。それに…」
………………え?
何を言っているの、エリック・エクスタリア?兄が…王家の人間?
まだ彼女が何か言っているようだが、耳に届かない。ガンっと鈍器で頭を殴られた感覚に襲われる。壁に寄り掛かり必死に脳内で情報を処理するも、どうしても信じられなかった。
だって、妹を溺愛する兄としか認識ない。
それに、兄はお父様と性格もそっくりなのよ。それにそれに、私が物心付く頃には兄は兄だった。
暇さえあれば側に居て、遊んでくれていた記憶しかない。
仮に血が繋がっていないとして、殿下の血族ということは、兄にも家族がいる筈だ。なのに、公爵家がお世話をする事なんてありえるのだろうか?
私は、兄に守られるばかりで…知らない事の方が多い気がする。
お父様に事実か確認しないと、万が一事実だったとして、兄がこの事実を知らなければショックを受けるかもしれないから、絶対にバレないようにしないといけない。
リリィ達に公爵邸に戻る準備をしてもらわないといけないわね。
こんな重大な秘密を知っているだなんて…一体何者なの…。
足早にその場を後にした私は知らない。私が去った方を見て、歪な笑顔を浮かべいる彼女のことを。
◇ ◇ ◇
急いで寮に戻っている途中、「アメリア嬢?」と背後から私を呼ぶ声。
息を整えつつ、振り返ると王太子殿下がそこに居た。
「殿下…ごきげんよう」
きっと手紙は偽物と判断し、公爵邸に戻ろうとしていた為、まさか殿下に会うとは。




