〜*第6話-9*〜
今私は学校終わりに、郊外の人目に付きにくいとある場所に来ている
「おや、初めて見かけるお嬢さんだ」
「本当だ。初めて参加される方ですかな。若いのに感心だな」
そこはほの暗い空間に、20人程の人間と、お酒・葉巻・香水…色々な香が混ざった臭い。
気分が悪くなるわね。
家族に私がこんな場所に居るなんてしられたら、……考えたくないわね。自宅に戻ると嘘の外出届けを出しているから、大丈夫だとは思うのだけれど。
「えぇ、初めて参加させて頂きますの。今の王政には疑問視するところがありますから。色々ご教授いただければ幸いですわ。」
ほほほと扇子で口元を隠し、嫌悪感を隠しながら話をする。
ここに居る皆が仮面で顔を覆い素性を隠す。そして…ここにいる全員が反王政派の貴族達。
マグノリア伯爵家を調べる中で、反王政派が集まる会合を見つける事が出来た。
しかし、マグノリア伯爵が来たという事実は調べる中では確認出来ていない。
ごく稀に開かれる不定期の集まりで、情報交換会のようなもの。
集まる人間もその時のより入れ替わる。
それでも、この場所を見つけられて幸運だわ。伯爵家の事を探りを入れて調べる事が出来る。私の素性が割れない事が前提だけれど。まぁ、髪と瞳の色を変えているし、下手しない限りそうそうバレはしないだろう。
色々室内を見て回っていると、大柄で無駄に圧を感じる1人の男に話し掛けられる。
「君は今の王政をどう思うかね」
顔の半分以上がマスクで隠れており、誰だか分からないわね。
「そうですね…平民に寄り添うがあまり、我々貴族の権利や品位が落ちているのでは無いかと…あのような者たちは捨て置けばよろしいのに」
視線を逸らしながら大げさに嘆息を漏らすと、大口を開け何とも下品な笑い声を上げる。
本当にこの方々は貴族なのかしら、と疑念すら抱くほど。
「良く分かっているじゃないか。そうさ、こんな事あったらいけない」
「そうよね。私達あってこそというのに…王や下賎の者にはそれが分からないらしい」
「本当、いっその事全て排除すればよろしいのに」
「まぁ我々の手で…近いうち良い国に生まれ変わるだろう」
私達の会話が聞こえたのか、ワラワラと便乗する者が近づいてくる。
自分で言った手前どうしようもないけれど、不愉快で仕方ない。
民衆あってこその、国だという事をこの方々は理解していないのかしら。
民衆の方々が頑張って働き、税を収めてくれているから、私達は何不自由ない生活が出来ているというのに。確かに貴族は自分でも富を生みだしている。
しかし、それを支えてくれている人がいるからこそ、成り立っているという事をどうして理解することが出来ないのだろう。
国王陛下はそれを十分に理解しているからこそ、民に還元されているに過ぎない。
それから刻々と時間は過ぎ、ある程度私が反王政派の人間という事を信じたであろうタイミングで、話題を切りだす。
「そう言えば中立派だと仰っていたけれど、実際は私達の仲間だという方もいると伺ったのですが、本当なんでしょうか?」
その話に顔が半分以上隠れている、男がピクリと反応したのを見逃さなかった。
「どうかしまして?」と、何も分かっていない振りをし首を傾げる。
やはりこの男がこの集会の中では、1番偉いのだろう。観察する限りこの男は話題の中心だ。人が寄って来てはこの人と言葉を交わす。
「ふっ、どこでそれを知ったのか知らないが、あまり詮索しない方が身のためってこともあるんだぞ。お嬢さん」
「あら、それは大変失礼しました。仲間がまだいると思うと、嬉しくて聞いてみただけです。他意はありませんわ」
少しだけ鋭い瞳にドキリとしたが、口元を隠し笑みを浮かべる。
「そうか。なぁに仲間になったのなら、近いうちに分かるさ。楽しみにしていればいい」
そう言ってその男はその場を離れた。もう時刻も遅くなっている、これ以上は特に情報を得る事も出来ないだろう。
最後に数人と言葉を交わし、一足先にその場を後にする。




