〜*第6話-8*〜
無事寮に戻って来て、リリィ達には心配かけた事を再度謝罪し、休むよう指示をする。
ベッドに身体を沈め、昨日からの事を思い返す。
もし、兄に見つからず公爵邸に戻って居なければ、きっと私はサーシャに何度邪魔をされようとも、何度も何度も何度も死のうとしただろう。
今も死にたい、消えてしまたい、とは思うけれど家族の…兄のあんな顔をみて直ぐに裏切ろうとは思えない。
サーシャも私を助けようとしてくれているのは分かっている。
「サーシャ、酷い言い方をしてごめんね。私自分事ばかりだった」
謝罪すると、目の前にサーシャが姿を現す。
『気にしなくてよい。私の為でもあるからな』
そう言えば、私の側にいる理由は目的の為って言っていたものね。
相変わらず内容は教えてくれないけれど。
「…兄にも心配かけたし、泣かせてしまったわ」
罪悪感が襲ってきては後悔をする。今日だけで何度しただろう。サーシャに軽く心境を吐き出すと、軽くため息をつき私の頭を撫でる。
『あれも、お主が生きているだけで喜んでいた。案ずることない』
不器用ながらに、慰めてくれているのかしら。「ありがとう」とだけ伝えた。
『それと、今後はどうするのだ。あの男の事があるが、娘の調査は続けるのか』
学園で会ったらどうなるか分からない。今後はきっと同じように接する事は出来ないだろう。それを不審に思われたら…何をされるか分からない。
だって、あいつは私が菜々美だと分かっているから。
…私が以前の記憶がある事も分かっているのか。そもそもどうやって私だと知り得たのか。
マグノリア嬢の事もあるし、義弟の話相手が誰かという事もある。
微かに震える腕を掴み
「勿論調べるわ。調査対象が増えたけれど、不安要素は払拭しないとね」
マグノリア伯爵家の調査をする上で、気になる事が出てきたのだ。
現国王である、エクスタリア・コンラッド。
この人は今までの王族に比べて、国民に寄り添い国民からの支持も高い。
まぁ、ただ優しいだけでは国は守れない。冷酷な部分も持ち合わせてはいるが、今までの王よりは優しいだろう。
その血を受け継ぐ、王太子も根は優しい人だしね。
しかし貴族の中には、国民を優先する政策に反感を持つ者も居る。
自分達がより裕福に、より幸せに。その為の資金が減っては良い気はしないだろう。
国民あっての生活だと…理解しようともしない馬鹿な人達。
奴隷制度があるから、仕方がない事なんだろうけどね。
そして、その反王族派と言われる貴族の中に、マグノリア伯爵の名があった。
今までは中立派を謳っていたのにだ。何が彼をそうさせたのか。
以前社交界でお会いした際は、穏やかなお方だと思っていたのだけれど、最近は伯爵の悪い噂を聞く事が増えて来たとの事。それもあの子を養女として迎えてから。
何か計画の為に伯爵が裏で手を引いているのか、それとも更に黒幕がいるのか。そこを調べてはいるのだが、中々尻尾を出さない。
「こうなったら…少し隙をみせようかしらね」
『おい、危ない事は』
「分かってるわ。怪我はしないようにするから。安心して」
怪訝そうな表情を浮かべるサーシャに笑みを向け、明日に備えて眠りにつく。




